【解説】なぜ今「SSBJ基準」なのか? 日本企業に迫るサステナビリティの地殻変動
When Sustainability Becomes Strategy
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<米国発「反ESG」の逆風と、金融界で起きた「もう1つの流れ」。「持続可能性」が本当の意味で経営戦略に組み込まれる時代が訪れている>
サステナビリティは死語になるのだろうか──。アメリカは気候変動対策の国際的な枠組みであるパリ協定から離脱し、「反ESG(環境・社会・企業統治)」の州法を次々と成立させている。SDGs(持続可能な開発目標)を先導してきたEUも環境情報の開示簡略化に舵を切り始めた。
長年にわたって積み重ねられてきた環境・社会への取り組みに、逆風が吹いている。あるいはそれは、少なからぬ人が口にしなかった本音と、重なっているのかもしれない。
しかし、2025年3月、日本で重要な「基準」が確定した。
環境負荷やサプライチェーン上の人権問題が事業にどう影響するのかを、財務情報レベルで厳密に報告するための、サステナビリティ開示基準(SSBJ基準)だ。時価総額3兆円以上の大企業を皮切りに、段階的な義務化が始まっていく。
これは日本独自の動きではない。3年前に国際機関である国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が世界共通の開示基準を公表しており、日本のSSBJ基準はこの国際基準に整合するよう設計された。

現在、ヨーロッパ、オーストラリア、カナダなど各地で同様の基準が整備されつつある。渦中のアメリカでも、カリフォルニア州やニューヨーク州など、複数の州が法制化に動いている。
つまり、逆風が吹く一方で、金融という巨大なインフラには、サステナビリティに向かう設計も組み込まれようとしているわけだ。今、二つの流れが同時に起きている。






