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「多世代・多主体」が織りなす地方創生モデル──「沿線まるごとホテル」プロジェクトの現場・奥多摩を訪ねて

2025年12月5日(金)12時00分
岩辺智博(本誌記者)

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「若いスタッフがSatologueを支えている」と会田さんは太鼓判を押す

地域創生で儲かるモデルを

最後に、参加者から感想や質問が寄せられた。

株式会社ベネッセコーポレーションの鈴木真依子さんからは、「(アート活動を通じて瀬戸内で地方創生に取り組むベネッセは)地方創生としてはある程度成功しましたが、それをどうやって企業の価値に変換していくかというところを課題としています。御社は非常に魅力的な取り組みを展開されていますが、この活動で目指しているのは事業としての成功ですか? それともJR東日本も深く関わる取り組み(※)ということで、インナーないしはアウターブランディングの効果を期待してのものなのでしょうか?」との質問があがった。

※「沿線まるごとホテル」プロジェクトは、JR東日本八王子支社と株式会社さとゆめが連携する形で2020年11月に始動。本格的な事業展開にあたって、共同出資会社として翌21年12月に沿線まるごと株式会社が設立された

これに対し、会田さんは「事業として成立させること」と言い切る。

「補助金や大企業の協賛頼みになると、人が変わるたびに判断が変わってしまうので継続していくのが難しくなります。また、しっかり黒字を出せたら世の中から評価されますし、それが企業価値につながっていくと思っています。地域創生は儲からないと言われがちですが、黒字を達成できるモデルを作りたいと考えているところです」

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会田さんの説明を熱心に聞く視察参加者ら

このほかにも、各企業から自社の事業を踏まえた質問が次々と寄せられ、議論は最後まで活発に続いた。なかには、近い将来のコラボレーションを期待させるやりとりもあり、全体として非常に充実した時間となった。

電車の時間の関係で名残惜しくも慌ただしくSatologueを後にした一行は、マジックアワーの古里駅で「チェックアウト」を済ませ、視察の旅を終えた。

◇ ◇ ◇

後日、今回の視察について簡単なアンケートを実施し、各社の担当者に回答してもらった。以下に、その一部を紹介したい。

「沿線の課題を企業と地域の方が一体となって解決に取り組めている点。道のりはまだ途中かと思いますが、軌道に乗せるまでの苦労も含め感嘆しました」

「一から作り直すのではなく、奥多摩地区のありのままの自然や景観を残し活かして地域創生を成している事業に感銘を受けました。Satologueの運営に地域の方々が関わっている点も、事業として活動の幅広さに繋がっていくのだと感じました」

このほかにも「自社の活動のヒントにしたい」「協力できる点がありそう」など、今後につながる前向きな感想が多く見られた。今回参加した企業は業界も異なれば、取り組むSDGsプロジェクトの内容もさまざま。この視察で得たヒントや気付きが、それぞれの現場で、何らかの形で活かされることを期待してやまない。

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