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「体育会だからこそできること...」蟹江研究室・小島 快さんが歩むSDGs×アイスホッケーの道

2025年2月18日(火)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

特に印象的だったのは、ホームステイ先の家から少し歩いたところにある浜辺の変化です。毎年訪れるたびに、以前はあったベンチや木がなくなっており、浜辺の土地がどんどん海に奪われている様子が目に見えてわかりました。地元では「100年後には島の至る所が海に沈む可能性がある」とも言われており、その現実に直面したことで、自分も何か行動しなければいけないと強く感じました。

それ以来、環境問題やSDGsについて学び、何ができるのかを自分なりに調べたり研究したりするようになりました。

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カナダ留学時の一枚

──現在どんな研究をされているのか、またその研究がSDGsのどのゴールや課題に関連しているのか教えてください。

僕は蟹江研究室に所属しており、体育会SDGs班というプロジェクトで活動しています。この班は比較的新しく、約1年半ほどの活動歴です。この班には野球部、アイスホッケー部、競走部など、体育会の部活動に所属している学生が多く参加しています。共通の認識として「体育会のスポーツ分野ではSDGsがあまり浸透していない」という課題がありました。

そこで、まずはSDGsの浸透度合いを把握するために、慶應義塾体育会全体にアンケートを実施しました。体育会には46の部活動があり、それぞれがSDGsのどの目標やターゲットに関連する活動をしているのかを把握することを目的としています。SDGsの17目標のうち、体育会活動に関連が深い13目標を選定し、それを169個のターゲットに分解して質問を作成しました。

最終的には「慶應サステナブルレポート」として、体育会版のSDGレポートを作成する予定です。これは、世界各国のSDGs達成度を示す「SDSNレポート」をモデルにしたもので、体育会の各部活動がどの目標にどれだけ貢献しているのかを可視化することを目指しています。

──現時点で、分析を進める中で分かってきたことなどありますか?

学生の中で「SDGsは幅広すぎて具体的にどの活動が関連しているのかわからない」という声が多いです。また、部活動内ではSDGsが十分に浸透していないのが現実です。

実際にSDGsの目標に関連する活動を噛み砕いて説明すると、「これって3番(健康と福祉)や4番(質の高い教育)に繋がっているじゃん」と気づくこともありますが、そうした繋がりを感じられている学生はまだ少数派です。また、「自分たちの活動ではSDGsに貢献できない」と考えてしまっている学生も少なくありません。

そこで、他の部活の具体的な取り組みを提示することで、「自分たちでもできることがあるかもしれない」と感じてもらえるようにするのが目標です。現時点での分析からは、こうした意識を変えるきっかけを作ることが重要だという結論が見え始めています。

解析や分析自体は、アンケートに回答した部活についてはすでに解析が完了しています。今後はそれらを基にSDSNレポートのような形で、慶應版の「慶應サステナブルレポート」を作成していこうと考えています。

──学校の学外でも、SDGs関連の活動をされていることはありますか?

大々的なものではありませんが、個人的に取り組んでいることがあります。例えば、アイスホッケーのスティックは壊れやすく、使えなくなったら廃棄されることが多いんです。しかし、折れたスティックでも再利用が可能で、ベンチやレクリエーション用の道具として使うことができます。そこで、壊れたスティックをアイスホッケー体験教室やイベントに寄付する活動を行っています。これは小規模ながらもSDGsの視点で取り組んでいる一例です。

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