カリフォルニアの「2045年ゼロカーボン電力」を阻む「これだけの課題」

California’s Green Dream

2025年1月23日(木)18時00分
ジェームズ・ビッカートン(本誌記者)

搾取型経済からの転換

CPUC公共権利擁護局のマット・ベイカー局長は昨年2月にポリティコに対し、「高額な料金はエネルギー転換を脅かす可能性がある」と認め、「エネルギー転換には世論の支持が必要であり、支持を維持するために、最もコストのかからない方法で実行することになる」と語った。

州知事執務室の報道官によると、昨年10月の行政命令は「電気料金高騰の主な要因として、屋上太陽光発電システムの補助金や、送電設備が山火事の原因になり消火活動を妨げることへの対策、安全監督への継続的な投資など、年々増えていくコストを挙げている」という。


「カリフォルニア州は全米で2番目に高い電気料金と再生可能エネルギーの高い普及率を誇るが、この2つに因果関係があるわけではない」と、ジェイコブソンは語る。「23年10月1日〜24年9月30日の電力需要に対するWWS(風力、水力、太陽光)発電の供給量が全米で最も多い12州には、24年3月に住宅用電気料金が最も安かった10州のうちの6州、電気料金が最も安かった20州のうちの10州が含まれており、電気料金が高いのは2州(カリフォルニアとメーン)だけだった」

カリフォルニア州の電気料金が高いのは「山火事のコストを顧客に転嫁した」ことが原因だと、ジェイコブソンも指摘する。これには送電線を地中化する費用のほか、ガスパイプラインの爆発事故やガス漏れ事故の補償金、老朽化したディアブロ・キャニオン原発の稼働費なども含まれる。また、化石燃料由来のガスを工業利用する際の料金はカリフォルニア州が全米で3番目に高く、「アメリカの平均の2倍以上」に達する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インドネシア新財務相「中銀と協力し流動性緩和」、 

ワールド

ネパール首相が辞任、反汚職デモ激化 首都空港が閉鎖

ビジネス

独VW、AIに最大10億ユーロ投資へ コスト削減目

ワールド

ロシアがウクライナ東部空爆、20人以上死亡 ゼレン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 3
    エコー写真を見て「医師は困惑していた」...中絶を拒否した母親、医師の予想を超えた出産を語る
  • 4
    石破首相が退陣表明、後継の「ダークホース」は超意…
  • 5
    ドイツAfD候補者6人が急死...州選挙直前の相次ぐ死に…
  • 6
    もはやアメリカは「内戦」状態...トランプ政権とデモ…
  • 7
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 8
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 9
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 10
    ロシア航空戦力の脆弱性が浮き彫りに...ウクライナ軍…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 4
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 5
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 6
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 7
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 8
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 9
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 10
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中