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少子化

日本の少子化、打開の鍵は「在宅勤務」にあった

Family Benefits of Working From Home

2025年11月7日(金)08時30分
ジョシュア・レット・ミラー(本誌米国版調査報道担当)
在宅勤務で時間にゆとりが生まれれば、子をもうける後押しとなる 画像:Sian Labay-Unsplash

在宅勤務で時間にゆとりが生まれれば、子をもうける後押しとなる 画像:Sian Labay-Unsplash

<片方もしくは両方が在宅勤務を実践しているカップルは、実際の子供の数と将来に欲しい子供の数が共に多い>


▼目次
ハイブリッド勤務でも効果的?
トランプの失敗に学べ

少子化に悩まされている国は、もしかするとリモートワークを普及させることで「ベビーブーム」を起こせるのかもしれない。

今年8月に発表された「在宅勤務と出生率(Work from Home and Fertility)」と題する論文によると、アメリカを含む38カ国のデータを分析したところ、リモートワークと出産の間に「正の相関関係」が見て取れたという。

「週1日以上、在宅勤務をしている回答者は、それ以外の点では同様に見えるが在宅勤務をしていない回答者と比べて、2021~25年前半に生物学上の子をより多くもうけており、将来持ちたいと思う子供の数もより多かった」と、この論文は記している。「配偶者やパートナーが在宅勤務を実践している回答者も、近年にもうけた子の数と、将来もうけたいと考える子の数が共に多かった」

また、カップルの両方が在宅勤務をしている場合、生涯にもうける子の数は、どちらも在宅勤務をしていないカップルと比べて、世界全体で見ると0.2人、アメリカでは0.18人多くなると予想されるという。

この研究を行った7人の共同研究者の1人であるスタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授(経済学)によれば、在宅勤務には「カップルが子をもうけることを促す」作用があり、出生率の改善に直接的な効果があるという。

「週に1日か2日、自宅で働ければ......学校の送り迎えをしたり、子供を必要な場所に連れて行ったりしやすくなる」と、ブルームは本誌に語る。「1.5時間の通勤時間を節約することにより、時間の余裕が生まれて、子をもうける後押しになる」

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