最新記事

日本社会

若者の「恋愛離れ、セックス離れ」はウソ 内閣府「20代の4割がデート経験なし」の本当の意味

2022年7月4日(月)13時30分
荒川和久(コラムニスト・独身研究家) *PRESIDENT Onlineからの転載

*写真はイメージです yamasan - iStockphoto

<恋愛しない、恋愛できない層が可視化されただけ>

先ごろ大きな話題となった「20代の若者のデート経験なし4割」という内閣府「令和4年版男女共同参画白書」を基にしたニュース。テレビでは、いつものように、中年男性たちの街頭インタビューで、「最近の男はだらしがないね」などとお決まりのフレーズが流れていましたが、本当にそうでしょうか。

実際に「最近の若者だけがデートや恋愛をしなくなったわけではない」ということは統計上明らかで、繰り返し私が言ってきたように「いつの時代も恋愛しているのはせいぜい3割程度」という「恋愛強者3割の法則」があります。

今回の内閣府の調査でも、20代男性の「配偶者・恋人のいない割合が65.8%にもなった」と大騒ぎしているのですが、そもそも20代男性の未婚率は86%であり、未婚者全体を100とすれば恋人のいない未婚男性割合は約76%となります。つまり、恋人のいる恋愛強者率は24%ということで、きっちり3割内の範疇に収まります。

今も昔も恋人がいる率は3割しかいない

かつて、<独身が増え続ける原因を「若者の恋愛離れ」にしたがるメディアの大ウソ>という記事でもご紹介したように、1982年以降の出生動向基本調査による長期推移を見ると、婚約者・恋人がいる率(18~34歳)はおおむね男性20%台、女性30%台で推移しており、若者の「恋人がいる率」は3割前後で変わりません。そもそも、40年間で彼女や彼氏のいる率というのは大体3割程度なものです。念のためグラフを再掲します。

恋人がいる率は30年前からほぼ変わらない

そもそもこのデート率のニュースの元になった内閣府の白書の当該ページ(P51 特-38図 これまでの恋人の人数・デートした人数)のグラフを見ると、確かに20代独身男性のデート経験なしは4割なのですが、あわせて20代既婚男性のデート経験なし率も1割あると書いてあります。これはどういうことでしょう? これら調査対象の既婚者は、一度もデートしたことなく結婚した人が1割もいるということでしょうか。

事実に反する偏見と思い込みで語っていないか

もちろん、これは回答者が質問の意図を理解していない場合や、そもそもいい加減な回答をする人(どの質問に対しても最初の回答項目だけを選択するなど)も一定数存在するので、そうしたデータがあがってくることは調査ではよくあることです。

しかし、分析や公表するにあたっては、それらを精査調整するのが当然だと思うわけですが、そうした統計の取り扱いの雑さが見えてしまうと、独身者の結果ですら何かしらの誤差や恣意(しい)性を含んでいるのではないかと勘繰りたくなってしまいます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ドイツ、公共施設の暖房最高19度に エネルギー節減

ビジネス

中国国有大手4社、米上場廃止申請へ 取引減や事務負

ビジネス

中国新規融資、7月は6790億元に急減 予想下回る

ワールド

台湾、通年の成長率予想を下方修正 半導体需要は堅調

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:世界が称賛する日本の暮らし

2022年8月 9日/2022年8月16日号(8/ 2発売)

治安、医療、食文化、教育、住環境......。日本人が気付かない日本の魅力

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    【映像】ガータースネークから幼蛇が出てくる瞬間

  • 2

    全部で11匹、手負いのヘビが幼蛇を産む瞬間

  • 3

    デリヘルで生計立て子供を私立の超難関校へ スーパーのパートも断られたシングルマザーに残された選択肢

  • 4

    史上最低レベルの視聴率で視聴者が反省会まで 朝ド…

  • 5

    「女性らしくない」との批判──ファーストレディ・オ…

  • 6

    【動画】露軍基地の大爆発と逃げる海水浴客

  • 7

    中国でミャンマー大使が急死 過去1年で中国駐在大使…

  • 8

    イーロン・マスク、自家用ジェットで車10分の距離を…

  • 9

    【映像】車庫にいた巨大ムースを至近距離で撮影

  • 10

    インドで手足が4本ずつある赤ちゃんが生まれる

  • 1

    史上最低レベルの視聴率で視聴者が反省会まで 朝ドラ「ちむどんどん」、沖縄県民が挙げた問題点とは

  • 2

    【映像】ビルマニシキヘビの死体を運ぶアメリカアリゲーター

  • 3

    ビルマニシキヘビの死体を担いで泳ぐワニが撮影される

  • 4

    【映像】ガータースネークから幼蛇が出てくる瞬間

  • 5

    「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」 世…

  • 6

    中国ロケット長征5号Bの残骸、フィリピン当局が回収 …

  • 7

    【動画】6つの刃でアルカイダ最高指導者の身体を切り…

  • 8

    【映像】接客態度に激怒、女性客が店員の顔にホット…

  • 9

    【動画】プーチン「影武者」説を主張する画像と動画

  • 10

    お釣りの渡し方に激怒、女性客が店員にコーヒーを投…

  • 1

    【映像】ビルマニシキヘビの死体を運ぶアメリカアリゲーター

  • 2

    【動画】黒人の子供に差別的な扱いをしたとして炎上したセサミプレイスでの動画

  • 3

    【空撮映像】シュモクザメが他のサメに襲い掛かる瞬間

  • 4

    「彼らは任務中の兵士だ」 近衛兵から大声で叱られた…

  • 5

    【映像】接客態度に激怒、女性客が店員の顔にホット…

  • 6

    【映像】視聴者までハラハラさせる危機感皆無のおば…

  • 7

    【動画】近衛兵の馬の手綱に触れ、大声で注意されて…

  • 8

    史上最低レベルの視聴率で視聴者が反省会まで 朝ド…

  • 9

    ビルマニシキヘビの死体を担いで泳ぐワニが撮影される

  • 10

    【動画】珍しく待ちぼうけを食わされるプーチン

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集
日本再発見 シーズン2
World Voice
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
ニューズウィーク日本版ウェブエディター募集

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月