最新記事
映画

「私はプリンセスじゃない」...勇敢なモアナが背負う「続編病」の宿命

A Moana Wannabe

2024年12月13日(金)14時20分
デーナ・スティーブンズ(映画評論家)
シメアとモアナ

海に選ばれて神の呪いを解く使命を担うモアナ(左は妹のシメア) WALT DISNEY STUDIOS MOTION PICTURESーSLATE

<海を愛し海に選ばれた南の島の少女が、再び神の呪いに立ち向かう新たな冒険へ旅立つが...>

南太平洋に浮かぶ架空の島モトゥヌイには、「モワナビー」と呼ばれるティーンエージャーたちがいる。海へと繰り出す勇敢な少女モアナの熱烈なファンだ。

2016年に大ヒットしたディズニーの長編ミュージカルアニメ『モアナと伝説の海』で、モアナは命の女神テ・フィティにかけられた太古の呪いを解くために大海原を冒険し、島の人々を飢饉から救った。

【関連動画】『モアナと伝説の海2』日本版予告 を見る


あれから3年。村長の娘であるモアナは父と共に島のリーダーになった。子供たちは彼女を尊敬し、年長者は助言を求める。以前は禁じられていた航海を繰り返し、1人で近くの島に行って戻ってくれば国民の祝日のようにお祝いされる。

続編『モアナと伝説の海2』は、モワナビーさながらのモアナ賛歌だ。8年前に大ヒットした前作の魅力を完全に再現することは難しいが、その特徴的な要素を意識した作品となっている。

探検とチームワークと勇気をたたえる壮大なミュージカルアニメは、とりわけ小さな子供がいる家族連れにとって楽しいシーンが満載だ。

ただし、活気にあふれ洗練されているにもかかわらず、消費されるための作品という色合いは前作より濃くなった。前作を際立たせていた繊細な演出や風変わりなキャラクターの癖はそぎ落とされたか、ノスタルジーを誘うオマージュとして再利用されている。

問題の1つは、この規模のシリーズものの2作目の常として、主人公が勝者の立場にいるところから物語を始めざるを得ないことだ。

日本
【イベント】国税庁が浅草で「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベントを開催。インバウンド客も魅了し、試飲体験も盛況!
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を

ワールド

アングル:中国企業、希少木材や高級茶をトークン化 

ワールド

和平望まないなら特別作戦の目標追求、プーチン氏がウ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中