最新記事

インタビュー

「クイーンは4人の若者が共に抱いた夢だった」...メイとテイラーが語る50年

Queen’s Golden Jubilee

2021年11月27日(土)18時09分
デービッド・チウ
クイーン「セイヴ・ミー」

80年のシングル「セイヴ・ミー」のジャケット写真に並ぶ若き日の4人 NEAL PRESTON/QUEEN PRODUCTIONS LTD

<4人の若者が夢の成功をつかみ、悲劇を経て未来へ。ブライアン・メイとロジャー・テイラーが伝説の50年を振り返る>

このバンドはいける──。成功の手応えを初めて感じた瞬間を、ブライアン・メイは今でも覚えている。

1973年、クイーンはメイの母校インペリアル・カレッジ・ロンドンで公演を行った。在学中、彼はイベント委員会に所属し「1000ポンドのギャラでジミ・ヘンドリックスを呼んだ」こともあった。

「ジミと同じ大講堂で演奏する日が来た」と、彼は振り返る。「ギャラは1000ポンドも出なかったが、会場は大入り。観客が全ての曲に反応してくれたのは、あのライブが初めてだった。興奮でゾクゾクし、エネルギーと成功への確信が体中を駆け巡った」

メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンとフレディ・マーキュリーの4人がクイーンを結成して今年で50年。イギリスを代表するバンドの人気は、今も衰えない。

70~80年代にヒットしたロックアンセムは今もラジオで流れ、CMやスポーツイベントで使われる。2018年には91年に死去したマーキュリーの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』が大ヒットし、新たなファンを獲得した。

「今でも現実とは思えない」

今年は50周年を祝うキャンペーンがめじろ押しだ。

YouTubeの公式チャンネルでは50週連続で貴重な瞬間を切り取った映像を1本ずつ公開。イギリス史上最も売れたアルバムである81年の『グレイテスト・ヒッツ』が再発売され、9月にはロンドンで記念グッズを扱うショップが期間限定でオープンした。

来年はアメリカの歌手アダム・ランバートをボーカルに迎えて、ヨーロッパツアーを行う(ディーコンは97年に引退したため不参加)。

「今もバンドに存在感があり、人々が私たちの音楽を楽しんでくれることに日々驚いている」と、72歳になったテイラーは言う。「最高の気分だ。こんな未来を誰が予想しただろう」

「今でも現実とは思えない」と、74歳のメイも語る。「クイーンは4人の若者が共に抱いた夢だった。成功すると思う根拠は1つもなかったが、私たちには夢があった。その夢が奇跡的に、想像もしないスケールで実現した」

メイが父親と手作りした愛器「レッド・スペシャル」で繰り出すきらびやかなギターサウンド、ディーコンのメロディアスなベース、テイラーのパワフルなドラム、そしてマーキュリーのカリスマと驚異的な声域──。

ポップス、ヘビーメタル、ファンクにディスコを取り入れた唯一無二のハードロックの裏には、4つの才能の相乗効果があった。「個性はばらばらだったが、4人とも全力で音楽に打ち込んだ。クイーンはその化学反応のたまものだ」と、テイラーは説明する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-米シティ、融資で多額損失発生も

ビジネス

イエレン米財務長官、FRB独立の重要性など主張へ 

ビジネス

米3月求人件数848.8万件、約3年ぶり低水準

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月は49.2に低下 価格
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中