キャリアのスタートラインにすら立てなくなるかも...AIが搔き立てるホワイトカラーの雇用不安

White-Collar Recession

2025年3月26日(水)17時30分
ジュリア・カーボナロ(米政治・経済担当)

ホワイトカラーの低迷は今年も続くのか。その見通しは業界によって異なると、グラスドアの主任エコノミスト、ダニエル・ジャオはみる。


「行政機関の新規採用は鈍化するとみられるが、連邦政府機関と違って地方政府レベルでは今後も新規雇用が増える。そのため全体で大幅な縮小になるかどうかは分からない。テクノロジーや金融の分野は、景気次第で雇用を増やすかもしれない」

ただし、とジャオは続ける。「人手不足で売り手市場だった数年前と比べて、パワーバランスは雇用者側に傾いている。雇用が低迷すれば、多くの労働者がキャリアアップの見込みがなくても現在の職場で我慢する。失業者や新卒者はキャリアアップどころか、スタートラインに就くのも困難になる」

求人が減って競争が激しくなれば、異業種への転職や妥協を考えざるを得なくなる。例えばリモートで働きたくても、従業員に出社を求める企業が増えるなかでは諦める求職者も多いだろう。

「経済全体を見れば解雇は少ないが、労働者が解雇に慣れていない分野では増加が目立つ。今後も解雇が増えるかどうかは別として、昔からブルーカラーの労働者が感じてきた雇用不安を、ホワイトカラーが初めて実感していることは確かだ」とテラザスは言う。

「ホワイトカラーの就職口は減る一方で、それを失業者が奪い合っている。貯金や退職金や配偶者の収入といったセーフティーネットがあれば、就職活動が長引いても持ちこたえられるだろう。しかしそうでない人たちは、職位や待遇のレベルを下げて仕事を探すことになりそうだ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EU・仏・独が米国非難、元欧州委員らへのビザ発給禁

ワールド

ウクライナ和平の米提案をプーチン氏に説明、近く立場

ワールド

パキスタン国際航空、地元企業連合が落札 来年4月か

ビジネス

中国、外資優遇の対象拡大 先進製造業やハイテクなど
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 10
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中