最新記事
経営

300社以上を見たVC語る 「成長する経営者は無茶ぶりに感謝している」

2023年10月6日(金)11時55分
辻 俊彦 ※経営ノウハウの泉より転載
ベンチャー経営者

写真はイメージです Tirachard Kumtanom-Shutterstock

<成長を目指す上で必要な経営者マインドには、4つの共通点がある>

ウナギの稚魚を水槽にいれて運ぶと、水槽が揺れるストレスのせいで、その多くが死んでしまいます。しかし、天敵であるナマズを入れておくと、輸送時の揺れよりももっと強いストレスである生命に対する危機感が勝り、生存率が上がるそうです。

人間も、適度なプレッシャーやストレスは生命力を育み、通常以上の成果を生み出すことがあります。

実際に生きている社会は多様性に満ちており、天敵も多く存在し、温室育ちが環境変化に弱いのは当然のことになります。生き残りをかける、という意味では企業経営も自然に学ぶところは数多くあります。

300社以上の企業を見てきたベンチャーキャピタリストである筆者が、成長するベンチャー企業経営者の共通点だと感じた"経営者マインド"をご紹介します。

「居心地のよさ=持続可能性」ではない

組織の中にも異見する人がいてこそ、議論が活性化し、ユニークな結論が出ることがよくあります。同質な人ばかりだと、凡庸な結論が繰り返されます。環境変化が少ない世界では違和感がないことが心理的安定性を生み出しますが、新しい価値の創造にはつながりません。

必ず起きる環境変化に対応していくには、多様性を受け入れてこそ、持続可能性は高まります。居心地のよさと持続可能性は、ある意味で二律背反なことかも知れません。

この二律背反を制してこそ、企業を成長させることができるのではないでしょうか。そのためにマインド・思考についてお話します。

成長を目指す上で必要な経営者マインドとは

■1)危機こそ「生き延びるチャンス」ととらえる

心にゆとりの持てる職場環境は理想ですが、経営基盤が脆弱なベンチャー企業に危機は必ず訪れます。絶望的と思える状況を掻い潜り、生き延びた企業はとても逞しくなります。大きな危機を経験することで、鈍感力を身につけ、高い目標に向かって邁進することができるようになります。

ベンチャー企業が成長の機会を得るには、果敢な挑戦が欠かせません。果敢な挑戦は失敗に終わることが多いのですが、その学習効果を生かして、挑戦なしには得られないノウハウや精神力が身につきます。

■2)居心地の悪さを受け入れる

成長を目指す企業は、あえて居心地の悪さを求めていく必要があります。達成できそうな目標ではなく、(知恵を絞らないと)到底達成できない目標を掲げることで、他社にはない収益モデルを思いつくことができるようになります。

また、価値観の共有が出来ているサポーターからの苦言は、建設的に捉え成長の糧としていく必要があるでしょう。叱咤激励、今ではあまり使われなくなりましたが、よき理解者からの苦言は英気を養うことに必ずつながります。

(参考記事)事業拡大中のベンチャーのオフィス展望とは?株式会社レイヴン・森田文弥氏にインタビュー

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、大麻規制緩める大統領令に近く署名か 米

ワールド

ウクライナ、東部要衝都市を9割掌握と発表 ロシアは

ビジネス

ウォラーFRB理事「中銀独立性を絶対に守る」、大統

ワールド

米財務省、「サハリン2」の原油販売許可延長 来年6
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中