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遅刻と居眠りの多い「問題社員」は、病気の可能性も。どうすれば?【産業医が解説】

2023年1月31日(火)11時05分
日下慶子 ※経営ノウハウの泉より転載

対応の際には、就業規則に則って、一貫した対応をするということがポイントです。ルールの範囲内で公平・公正に対応するために、柔軟に働いてパフォーマンスを発揮したいBさんについては、裁量労働制を導入するなど、納得を得やすい形にできないかを検討しましょう。また、Aさんに注意や指導を行う場合は、書面で伝え、プロセスを踏むことが必要です。

例えば、8時出勤のところを9時にしか出勤できないという遅刻の改善に対しては、いきなり「明日から8時出勤してください」ではなく、「2週間で8時半出勤、4週間後に8時出勤ができるように改善してください」のように期限を決めることも大事です。特に疾病性がある場合、治療を始めたとしても改善されるまでに時間がかかることがありますので猶予期間を設けるというのは、いち産業医からのお願いでもあります。

まとめ

従業員の問題の根底には、個人の事情や疾病の影響・組織の体制に起因するものもあれば、小さな問題を放置した・適切な対応が取られなかったことで、問題が膨れ上がってしまう場合など様々な事情があります。表面的な問題を解決しても、土壌が変わらない・一貫した対応が行われなければ、また似たような問題が出てくるでしょう。弁護士や社会保険労務士、産業医など外部の専門家の力を借りながら、ルールに則った一貫した対応をこころがけましょう。

[執筆者]
日下慶子
労働衛生コンサルタント
産業医
・精神保健指定医
・社会医学系専門医・指導医
2004年京都大学医学部卒業。アジア経済研究所開発スクール、京都大学大学院医学研究科(単位取得退学)、Parsons School of Designにて学ぶ。専門は、公衆衛生(産業保健)、精神保健(地域精神保健、精神科救急)

2023.01.25

※当記事は「経営ノウハウの泉」の提供記事です
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