コラム

中国人が「9月は反日、10月は親日」なワケ

2025年10月25日(土)20時13分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)

「気まぐれな中国」との付き合い方のヒント

ある中国人の動画ブロガーはこう語った。「愛国者たちは日本車を壊し、日本製品をボイコットし、愛国心で国産を選ぶ。だが、病気になって手術を受けるとき、彼らは本当に国産の医療器具を選ぶか? 答えは言うまでもない」。中国の体制は「国家の力を集中して大事を成す」ことに優れているが、ノーベル賞のような独創性を重んじる賞では、学問の自由と長期的視野こそ不可欠。これこそ今の中国に最も欠けているものだと、中国人はようやく気付いたのだろう。

9月は反日、10月は親日。中国人の対日感情は本当に複雑で理解し難い。しかし、その中から、日本が中国とどのように向き合うべきかが見えてくる。それは「徳をもって人を服させる(以徳服人)」こと。ここで言う「徳」とは、謙虚や忍耐や礼儀作法だけでなく、美しい歴史文化と強靭な科学精神も指す。どれも今の中国に欠けるものだ。


ポイント

諾貝爾奬
「諾貝爾(ヌオペイル)」はNobelの中国語の音訳。中国出身で中華人民共和国国籍の受賞者は劉暁波(平和賞)、莫言(文学賞)、屠呦呦(生理学・医学賞)の3人。

実至名帰
「実益も名誉も手に入れる」「実際の成果があれば、名誉は自然についてくる」という意味の中国語の成語。「実至名随」とも言う。

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プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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