- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- なぜ今になって英語の民間試験導入に反発が出ているの…
なぜ今になって英語の民間試験導入に反発が出ているのか?
先述の通り本来はTOEFL一択でいいとは思いますが、「大人の事情」の結果、多くの国内の企業が新たに作った試験も選択肢として認められています。こちらは、「点が取りやすい」とか「有利になる」などという謳い文句とともに、セールス活動がされている(おかしな話です)ようですが、その検査そのものが「日本の受験生にも点が出やすいように」つまり「ホンモノの言語運用能力ではなく、試験対策なるものが通用する」ような内容に歪められているかどうかは、しっかり監視しなければならないと思います。
それはともかくとして、実施直前のこのタイミングでこれだけの「不安感」が噴出してきたということを見ると、そのこと自体に1つの大きな不安を感じざるを得ません。
それは「民間試験導入が分かっていたにも関わらず、旧態依然とした英語教育を抜本的に変革することが間に合わず、聞くとか話すといった技能について、高校生自身も、また指導した高校教師も全く自信が持てていない」という不安です。
そうだとすれば、試験に対する不安感や反発というのは、日本の学校現場における英語教育が「変わらなくてはならないが変われない」という状況を抱えて混乱していることのあらわれ――そう理解することができます。仮にそうだとすれば、決していい状況ではありませんが、とにかく新しい制度が「変らなくてはならない」という現実を突き付けているのは事実でしょう。現在の混乱はそのように理解できると考えられます。

アマゾンに飛びます
2025年7月8日号(7月1日発売)は「トランプvsイラン」特集。「平和主義者」の大統領がなぜ? イラン核施設への攻撃で中東と世界はこう変わる
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
熱中症対策の決定打が、どうして日本では普及しないのか? 2025.07.02
トランプのイラン空爆と、米民主党のさらなる左傾化 2025.06.26
イラン攻撃への関与で真っ二つに割れるトランプ支持層 2025.06.18
天才的なヒラメキとともに躍動する姿を見せ続けた......長嶋茂雄の愛された時代 2025.06.04
混乱回避に成功した米ニューアーク空港と航空行政 2025.05.28
「外国免許切替」制度の厳格化は必要、だが事故防止はまた別の問題 2025.05.21