SPECIAL ADVERTISING SECTION

フランス人と行く!四国お遍路

日本唯一のNYタイムズ「行くべき場所」は、文化体験や人との交流が魅力

2015年12月25日(金)17時10分

 このお接待には、Fさんに「アリエナイ!」と言わしめた驚きの事実があった。それは、お接待の行い全てが無償であるということだ。

 果物をくれる人もいれば、ご飯を振る舞ってくれる人もいるなど、お接待の内容は百人百様。なかには一泊の宿を提供してくれる人までいるそうだ。裏で誰かからお金をもらっているわけではない。自分の思いひとつで全てのものを提供してくれているのである。

 いくら世界的に見て日本が安全な国といっても、見ず知らずの他人に無償で宿を提供するなど、他の地方ではなかなか見られない文化ではないか。東京で暮らすFさんも、とても驚いていた。

ohenro1-4m.jpg

お茶とまんじゅうのお接待をしていただいた私たち。もしも苦手なものがあっても、基本的にお接待を断ることは許されない。する側とされる側の両者にとって、また後から来るお遍路さんのためにも快く頂くべし

 ここ霊山寺で、新たな旅の仲間が加わった。

 お遍路に惹かれて20数年、今では徳島文理大学で四国お遍路の研究をしているカナダ出身のデビッド・モートン先生だ。モートン先生からはその後、「お遍路には見落としがちな見所が実はたくさんある」と、各所で教わることとなった。

 例えば、この霊山寺にはその昔、目から"ビーム"を出して悪人を裁いた弘法大師像がいるのだとか。よく探してみると、なるほど確かに、切れ長で眼光鋭い弘法大師像が本堂の奥にいた。

ohenro1-5m.jpg

ちょっと暗いが......確かに他の弘法大師像よりも切れ長の目だった

 そもそも歴史をひも解くと、「空海」こと弘法大師とお遍路の関係は9世紀にまで遡る。

 当時、四国を修行して回っていた弘法大師が、たまたま出会った衛門三郎という男にひどい仕打ちを受ける。その後、その行いに対して重い罰を受けた衛門三郎が、弘法大師に再び会って許しを乞うために彼の後を追いかけて四国中のお寺を訪ね歩いた足跡が、現在のお遍路の起源と言われているのである。

ohenro1-6l.jpg

霊山寺の本堂の天井。Fさんはこの明かりを見て「エキゾチックジャパン!」と興奮気味だった

 さて、次に訪ねたのは、弘法大師が難産の女性を助けて無事に安産させたという、子宝、安産祈願で有名な第二番札所の極楽寺(ごくらくじ)。ただ、私もFさんも独身でその予定もないため、残念ながら足早に次の札所へ向かうことに。

 そしてお遍路の旅1日目の最後のお寺は、第六番札所の安楽寺(あんらくじ)である。安楽寺は温泉山としても知られ、弘法大師がここで温泉を発見し、湯治場にしたことが成り立ちと言われている。もちろん、そのご利益ある温泉に入浴することができる。

ohenro1-7l.jpg

温泉山として知られる安楽寺

プロフィール

山崎勇歩

ライター、デザイナー。1987年千葉生まれ。武蔵野美術大学卒。外資系広告代理店でのクリエイティブ職を経て、現在に至る。

MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 10

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中