コラム

日本から学ばず、デフレ・経済停滞から抜け出せなそうな中国

2024年12月12日(木)06時30分
習近平中国国家主席

習近平政権は経済政策の重要性を理解しているようにはみえない Adriano Machado-REUTERS

<トランプ2.0が始動すれば、米中で関税の掛け合いとなるだろう。双方が経済的なダメージを負うが、中国の経済成長率はどうなるか。習近平政権は経済政策の重要性を理解しているようにはみえない>

トランプ2.0が2025年に始動するが、ドナルド・トランプ次期米大統領はカナダ、フランス、イタリアの首脳と会談を行い、外交政策を既に開始した。トランプ氏がリーダーとなる米国としっかり向き合うことで、自らの国益を高める必要があることを先進各国は理解している。

G7の中で石破政権率いる日本は、現時点ではトランプ氏からほとんど相手にされていないようだ。トランプ次期大統領が米国の外交政策を変え、対中抑圧策が強化される中で、関税引き上げの対象になる経済大国・日本の国益を損なわない為に、政治リーダーの資質・能力が重要になる点は誰の目からみても明らかだろう。

11月28日のコラムでも述べたが、米欧先進国のリーダーの中でトランプ氏と特に懇意だった安倍晋三元首相が残したレガシーを活かし、自らが安倍氏の後継者であることを石破茂首相がアピールしながらトランプ政権に向き合わなければ、日本の国益は低下するだろう。

「自らのかつての言動」にこだわりが残っている為か首相のリーダーシップが見えない中で、石破政権では2025年の日本経済に期待するのは難しいだろう。

また、トランプ政権の関税引き上げの最大のターゲットは、覇権国のライバルとみなす中国であり、米国の政策変更の影響を最も受けるのは同国だろう。2018~19年同様に、米政府の関税引き上げに対して、同様の規模で米国からの輸入品に関税を課す政策対応を中国は行うだろう。

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

世界インフレ動向はまちまち、関税の影響にばらつき=

ビジネス

FRB、入手可能な情報に基づき政策を判断=シカゴ連

ビジネス

米国株式市場=主要3指数最高値、ハイテク株が高い 

ビジネス

NY外為市場=ドルが対ユーロ・円で上昇、政府閉鎖の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story