コラム

不法移民・難民の「強制送還」が欧州各国で拡大...受け入れめぐり、タリバン政権と取引する動きも

2025年09月19日(金)16時51分

タリバンには既成事実を積み重ねる絶好の機会

こうした欧州の動きはタリバンにとって正当な政府としての既成事実を積み重ねる絶好の機会。タリバンは気候外交にも食い込む。昨年バクーで開かれた国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)では国家環境保護庁の高官が「技術代表団」として参加した。

7月、ロシアが世界で初めてタリバン暫定政権を正式承認した。中国やパキスタン、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)もタリバンの代表を受け入れたり、接触したりしている。ロシアの承認をきっかけにタリバン暫定政権が国際社会に復帰する扉が開くかもしれない。

人権を錦の御旗に掲げてきた欧州にとり最大のジレンマは国内政治の圧力と規範の乖離にある。極右台頭を前に「不法移民・難民の送還」を有権者に示す必要があり、タリバンとの協力が避けられない。しかし人権を軽視すれば自由と民主主義という欧州の建前が大きく揺らぐ。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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