コラム

コリン・ジョイスのプロフィール

2009年04月22日(水)17時50分

 コリン・ジョイスはロンドン東部ロムフォードの出身。ロムフォードはイングランドでもイケてない町の1つ。1989年にようやく故郷を脱出してオックスフォード大学に入学、古代史と現代史を学ぶ。強いなまりと短気な性格から、頭が悪いと思った指導教官もいたようだ。ところが試験の出来は最高で、教官たちを驚かせることに。日本語を学ぶための奨学金を得て92年に来日し、神戸の大学で学ぶ。彼は今でも神戸を日本の故郷と考えている。残念ながら日本語を学ぶ能力は絶望的で、はからずも教官たちの言葉を証明することになるのだが。
 
 彼が日本に15年間もとどまったのは、日本語を学ぶまでは帰国しないという頑固な決意があったことが主な理由だ。財テクは苦手だが、おいしいビールとフットボールには目がない。彼の滞在中に日本経済が悪化し、ビールとフットボールの質が大幅に向上したのは、決して偶然ではないと彼は思っている。

 埼玉の県立高校で2年間英語を教えるが、毎日定刻を守らなければいけない暮らしは性に合わないことに気付いた。ニューズウィーク日本版編集部に4年間在籍(今も時折寄稿している)。その後、07年までの7年間、イギリスで一番読まれている高級紙デイリー・テレグラフの東京特派員を務める。英インディペンデント紙やロサンゼルス・タイムズなど、多くのメディアに執筆した。
 
 これまでのジャーナリスト生活でいい思い出となった取材は、どれも困難な状況で行ったものだ。野球オンチなのに野球の記事を書いたこと。アメリカの読者向けに、日本で行われた04年のメジャーリーグ開幕戦を取材した経験もその1つ。映画『ハリー・ポッター』シリーズの第5弾『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の批評を書いたこと。イギリスのメディアに書く初めての記事だったのに、前4作を見たこともなければ、原作を読んだこともなかった。99年には、イギリスの新聞にトヨタカップ(マンチェスター・ユナイテッドvs.パルメライス)のリポートを送った。それまでフットボールの試合の記事なんて書いたことがなかったのに。

 デイリー・テレグラフでは、ロンドンの編集者が日本のニュースにあまり関心がないことに苦労した。ジョイスのお気に入りの記事は、イギリスと日本の歴史に関係する記事だ。横浜に水道を敷いたイギリス人技師ヘンリー・スペンサー・パーマーや、「君が代」を作曲したジョン・ウィリアム・フェントン。日本をコレラから救ったイギリス人技師ウィリアム・K・バートン東郷平八郎の旗についても書いた。

 ニューズウィーク日本版に書いた記事で、特に誇りに思うのは特集記事だ。07年9月19日号の「東京特派員の告白」、それからこれまでに6回掲載した「世界が尊敬する日本人」。

 著書に06年の『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』、09年の『「アメリカ社会」入門――英国人ニューヨークに住む』(ともにNHK生活人新書)、11年の『「イギリス社会」入門――日本人に伝えたい本当の英国』>(NHK出版新書)がある。最新作は『新「ニッポン社会」入門――英国人、日本で再び発見する』(三賢社)。
 
 彼が母国語ではどんな文章を書くのか興味がある人は、『「ニッポン社会」入門』の英語版『How to Japan―A Tokyo Correspondent's Take』(NHK出版)をどうぞ。

 日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ニューズウィーク日本版オンラインのブログのほか、NHKラジオのラジオ英会話テキストにコラムを書いている。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『新「ニッポン社会」入門――英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『「ニッポン社会」入門』(NHK生活人新書)、『「イギリス社会」入門』(NHK出版新書)など。
アドレスはjhbqd702@yahoo.co.jp >さらに読む

ニュース速報

ビジネス

米企業の設備投資、英EU離脱でさらに減少も

ビジネス

独仏外相が連名で論文、「強い欧州」へ経済統合強化な

ワールド

情報BOX:英EU離脱で想定される10のシナリオ

ビジネス

日本経済への悪影響を最小限にすべく官民協力して対応

MAGAZINE

特集:英国はどこへ行く?

2016-6・28号(6/21発売)

EU離脱の是非を問うイギリス国民投票はいかに──。統合の理念が揺らぐ欧州と英国を待つ未来

人気ランキング (ジャンル別)

  • 最新記事
  • コラム
  • ニュース速報
  1. 1

    もし第3次世界大戦が起こったら

  2. 2

    英キャメロン首相「EU離脱派6つのウソ」

  3. 3

    ISISが3500人のNY「市民殺害リスト」をアプリで公開

    無差別の市民を選び出し、身近な標的を殺せと支持…

  4. 4

    ハーバードが絶賛する「日本」を私たちはまだ知らない

  5. 5

    未婚男性の「不幸」感が突出して高い日本社会

  6. 6

    Windows10の自動更新プログラム、アフリカのNGOを危険にさらす

  7. 7

    「国家崩壊」寸前、ベネズエラ国民を苦しめる社会主義の失敗

  8. 8

    搾取されるK‐POPのアイドルたち

  9. 9

    安倍首相、消費増税再延期へ、サミットで経済状況リーマン級の危機と各国に説明

    財政出動への支持取り付けと消費増税延期への地な…

  10. 10

    コンビニATM14億円不正引き出し、管理甘い日本が狙われる

    アフリカ諸国、東欧、中東などでは不正分析ソフト…

  1. 1

    レイプ写真を綿々とシェアするデジタル・ネイティブ世代の闇

    ここ最近、読んでいるだけで、腹の底から怒りと…

  2. 2

    英国のEU離脱問題、ハッピーエンドは幻か

    欧州連合(EU)にさらに権限を委譲すべきだと答え…

  3. 3

    伊勢志摩サミットの「配偶者プログラム」はとにかく最悪

    <日本でサミットなどの国際会議が開催されるたび…

  4. 4

    嫌韓デモの現場で見た日本の底力

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔7月…

  5. 5

    移民問題が「タブー」でなくなったわけ

    ここ数年、僕たちイギリスの国民は、一部の政治…

  6. 6

    間違い電話でわかった借金大国の悲しい現実

    ニューヨークに住み始めた僕は、まず携帯電話を手…

  7. 7

    中古ショップで見える「貧困」の真実

    時々僕は、自分が周りの人々とは違った経済的「…

  8. 8

    美学はどこへ行った?(1):思想・哲学・理論

    <現代アートの国際展は、思想や哲学にインスパイアさ…

  9. 9

    パックンが斬る、トランプ現象の行方【後編、パックン亡命のシナリオ】

    <【前編】はこちら> トランプ人気は否めない。…

  10. 10

    【市場】いよいよ終わりの始まりが始まった

    いよいよ終わりの始まりが始まった。それは日銀のマ…

  1. 1

    メルセデス・ベンツの長距離EV、10月に発表=ダイムラー

    ドイツの自動車大手ダイムラーは、メルセデス・…

  2. 2

    英国のEU離脱派と残留派、なお拮抗=最新の世論調査

    11日に公表された世論調査によると、英国の欧…

  3. 3

    米フロリダ州の乱射で50人死亡、容疑者は警備最大手に勤務

    米フロリダ州オーランドの、同性愛者が集まるナ…

  4. 4

    米国株式市場は続落、原油安と世界経済懸念が重し

    米国株式市場は2日続落で取引を終えた。原油が…

  5. 5

    ECBのマイナス金利、銀行に恩恵=コンスタンシオ副総裁

    欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁…

  6. 6

    英国民投票、「EU離脱」選択で何が起こるか

    欧州連合(EU)は6月23日の英国民投票を控…

  7. 7

    インタビュー:世界的な低金利、エンダウメント型投資に勝機=UBSウェルス

    UBSウェルス・マネジメントのグローバルCI…

  8. 8

    NY市場サマリー(10日)

    <為替> 原油安や銀行株主導で世界的に株安が…

  9. 9

    焦点:タカタ再建、「ラザード」効果で進展か 車各社との調整に期待

    欠陥エアバッグ部品の大量リコール(回収・無償…

  10. 10

    クリントン氏優位保つ、トランプ氏と支持率11ポイント差=調査

    ロイター/イプソスが実施した最新の世論調査に…

定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
リクルート
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

0歳からの教育 育児編

絶賛発売中!

コラム

パックン(パトリック・ハーラン)

モハメド・アリ、その「第三の顔」を語ろう