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ウクライナ支援の「有志連合」とは何か? 安全の保証「NATO第5条のようなもの」が意味すること
慌ただしい動き
これ以降の動きは慌ただしかった。列挙してみたい。
8月19日と20日にはワシントンで、7カ国(フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、フィンランド、ウクライナ、アメリカ)の制服組トップ、そしてNATOの欧州軍最高司令官(SACEUR)が会合を開いた。
報道官の声明によれば、この会合では欧州に恒久的な平和をもたらすための交渉を支援するための軍事的選択肢を策定した。「これらの選択肢は、各国の国家安全保障顧問に提示され、進行中の外交努力において適切に検討される予定です」とのことだ。
20日には、NATO32加盟国の制服組トップが、ビデオ会議を開いて「有志連合」のテーマを協議したと報道された。内容は公表されていないが、NATO軍事委員会委員長であるジュゼッペ・カヴォ・ドラゴネ提督はX(旧ツイッター)に「ウクライナについて、我々は支援を再確認した」「我々の思いは、勇敢なウクライナの戦闘員たちと共にある」と投稿した。
22日にはマルク・ルッテNATO事務総長がキーウを訪問。「2つの形の保証が検討されている。ウクライナ軍の強化か、欧州諸国と米国がより直接的に関与する形だ」と述べた。そして「米国が関与することは明確だ」と強調したが、詳細は不明である。
大変興味深いのは、8月23日、ドラゴネが伊紙のインタビューに答えた内容である。
安全保障上の保証としてウクライナに西側軍を派遣する可能性について「全く議論していない」し「示唆もしていない」と断言し、「これらの問題は、国際政治とモスクワとの交渉の一部です」と言ったことだ。
「一部の国が部隊派遣の問題を、おそらく二国間レベルで議論したことは承知しています。しかし、これはまだ初期段階です」と述べ、問題は複雑だと指摘した。
「現場で、ロシアかウクライナが合意を破ったかを判断するのは誰か。交戦規則を定めるのは誰か。どのくらいの領土の面積に人員を配置するのか。潜在的な兵士は監視のみか、防衛も行うのか。その場合、どのような武器を使用するのか」、「私の領域では、実際に兵力が確保できるかどうかさえ、分かりません。おそらくNATO非加盟国の兵士を検討できるかもしれません」
ちなみに、イタリア政府は兵士派遣に同意していない。
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