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ウクライナ支援の「有志連合」とは何か? 安全の保証「NATO第5条のようなもの」が意味すること
正式な発足は4月10日、ブリュッセルのNATO本部内である。7月に本部はパリに設置された。それまで具体的な成果はあげておらず、アメリカに無視されていた計画は、本部設置の週に初めてアメリカのウクライナ担当特使キース・ケロッグと、上院議員2人(共和党と民主党の各1人)が参加した。
現在、フランスとイギリスは、それぞれ数百人の兵士を送る見込みである。トルコは海上部門での参加を表明している。
「信頼できる軍事的存在として、私の見解では1万5000人から2万人を配置する必要があります」と、NATO防衛投資部門の元事務次長のカミーユ・グランは仏紙『ル・モンド』に述べた。
欧州の部隊は戦略的拠点に配備され、キーウやオデーサなどが候補に挙がっている。アメリカの関与の度合いによって、異なるシナリオが検討されているという。実際、アメリカの保証が必須と考える国は多く、保証の内容や度合いによって、兵士を出す国の数は変わるだろう。
アメリカはというと、トランプ大統領は8月19日、米テレビ『フォックスニュース』で「我々は特に空軍による支援など、彼ら(欧州諸国)を支援する用意がある」と語った。
NATOの「第5条のようなもの」が意味することとは
今、NATO「第5条のようなもの」による保護について、注目が集まっている。
NATO第5条とは、加盟国が1国でも攻撃を受けた場合、これを加盟国全体への攻撃とみなして反撃などの対応を取るとする、集団的自衛権の行使の規定である。
ここがヨーロッパにとっては、ウクライナの安全の保証の「肝」ではないだろうか。
有志連合に「第5条のようなもの」を導入することは、今年3月、EU27カ国の首脳が集まる欧州理事会で、イタリアのジョルジャ・メローニ首相が提案したものだ。
続報は聞かれなかったが、8月15日の米露首脳アラスカ会談後に、スティーブ・ウィトコフ中東特使がこの可能性に言及した。さらに、プーチン大統領が反対しなかったと述べたのである。
この発言から、3月以来EU・欧州はこの件を秘密裏にアメリカに働きかけてきたのではないかと推測される。
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