ニュース速報
ワールド

アフリカ諸国に影落とすサウジ・UAEの利害対立、地域分断進める

2026年02月16日(月)11時08分

 エチオピアで14日から行われたアフリカ連合(AU)首脳会議は、ソマリアなど「アフリカの角」と呼ばれる地域を巡るサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の利害対立が影を落とす形になった。写真はアフリカ連合委員会本部(2026年 ロイター/Tiksa Negeri)

[‌ロンドン/ナイロビ 14日 ロイター] - エチオ‌ピアで14日から行われたアフリカ連合(AU)首脳会議​は、ソマリアなど「アフリカの角」と呼ばれる地域を巡るサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)⁠の利害対立が影を落とす形に​なった。9人の外交官や専門家が明らかにした。

サウジとUAEのあつれきは、同じ中東のイエメン南部で異なる勢力を支援したことで始まった後、紅海を挟んでソマリア、スーダン、エチオピア、エリトリア、リビアなどにも広がっている。

近年UAEは、アフリカの角地⁠域で多額の投資や強力な外交、軍事支援を通じて影響力の大きな国となった。

一方、サウジはそれに比べて存在感は小さかったものの、複⁠数の外交​官によると現在はエジプトやトルコ、カタールと連携してUAEに対抗する足場を築きつつある。

ある外交官はロイターに「サウジは目を覚まし、紅海を失うかもしれないと気づいた。彼らが眠っている間にUAEがアフリカの角で活動を続けていた」と語った。また、現在、対立の場となっているのはソマリアで、スーダンなどでも対立の構図が生まれているとの見方を⁠示した。

複数の外交官は、こうした中でアフリカ諸国や武装勢‌力がサウジとUAEどちらかの陣営に属することを選ばざるを得なくなっていると指摘⁠する。

⁠米メリーランド大学でアフリカの角を専門に研究するマイケル・ウォルデマリアム氏は、エリトリアやジブチ、ソマリア、スーダン国軍(SAF)といった地域の当事国は、UAEによる「剛腕」外交への懸念を強めていると話す。

ウォルデマリアム氏は「サウジはアフリカの角でUAE(の影響力)‌を限定ないし抑制しようとするかもしれない。しかしどうなるかはまだ​分から‌ない。UAEはこの地域に遠征⁠軍的な軍事プレゼンスから濃密な金融​ネットワークまで多大な影響力行使の手段を有している」と解説した。

これに対して複数のサウジ政府高官は、UAEのイエメンやアフリカの角における行動がサウジの安全を脅かしているとの懸念を示している。

UAE側は、アフリカの角などにおける戦略は過激派に対抗して当該国家を強化するのが目的だと‌主張する。だが国連の専門家や西側の関係者は、その戦略が特に紛争をあおり、権威主義的な指導者を支援していると分析している。

スーダン​内戦でもサウジが国軍、UAEが国軍と対立する⁠即応支援部隊(RSF)をそれぞれ後押しし、事態を紛糾させている。

しかし最大の問題はやはりアフリカの角になりそうだ。

欧州連合(EU)の元地域担当特別代表アレックス・ロンドス​氏は、アフリカの角が中東の対立の副次的な舞台になってしまったと述べた。

ロンドス氏は「サウジとUAEは、その影響を十分に理解しているのだろうか。アフリカの角は、これらの外国の対立とアフリカの共謀者たちによる分断を許してしまうのか」と問いかけた。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正-焦点:高値の提案も拒否可能、経産省が買収指針

ビジネス

米当局、加工原料の安全性審査制度を検討へ 厚生長官

ワールド

中国の主張は事実に反し根拠欠く、厳格に申し入れした

ビジネス

午前のドルは153円近辺へ小幅高、日銀の金融政策意
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活動する動画に世界中のネット民から賞賛の声
  • 4
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    世界市場3.8兆円、日本アニメは転換点へ――成長を支え…
  • 10
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 10
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中