アングル:日銀、先行き利上げ判断で貸出動向に注目 中立金利推計に不確実性
写真は日銀と日本国旗。2024年3月、東京で撮影。REUTERS/Kim Kyung-Hoon
Takahiko Wada
[東京 8日 ロイター] - 追加利上げの判断に関連して、日銀では政策金利がなお緩和的な領域にあることを示すものとして金融機関の貸出動向に注目が向かっている。中立金利は政策運営上重要な概念だが、推計には幅があり、予めピンポイントで定めて政策運営に当たるべきではないとの見方が背景にある。政策金利が引き締め領域に入っていけば貸出動向に変調が出てくるはずで、経済や物価を通して引き締めと緩和の分水嶺を見極める姿勢だ。
<中立金利>
中立金利は景気に対して緩和的でも引き締め的でもない自然利子率を巡る推計がもとになっている。日銀は2024年8月、金融政策の多角的レビューの一環で出した論文で自然利子率の推計を示した。6つのモデルから導き出した推計値を寄せ集めると自然利子率はマイナス1.0%―プラス0.5%で、日銀が物価2%目標を達成したとの前提に立てば、自然利子率に2%を足すことで、中立金利は1―2.5%となる。
24年8月の論文は23年第1四半期までのデータが用いられている。直近までのデータを入れることで、自然利子率の推計が上振れる可能性もあるが、同論文は「新たなデータが追加されると、事後的に見て現在の推計値が変わり得る」と指摘している。直近の推計値は不確実性が大きく、相当の幅をもって評価する必要がある。
日銀ではデータを最新のものにしても、推計の幅の広さや水準が大きく変わるものではないとの声が出ている。植田和男総裁は4日の参議院財政金融委員会で、中立金利の推計について「常にもう少し狭めることができないか、作業を続けている」とし、今後、うまく狭めることができたら適宜公表していきたいが「現状ではかなりの幅をもって見ざるを得ない概念」と説明している。
<堅調な貸出、利上げの反応を注視>
植田総裁は1日の記者会見で、現在の金利が中立金利までどのくらいの距離があるのか、次回の利上げ時に「考え」を示すと述べた。
日銀では、市場の一部で中立金利のレンジの下限に当たる1%があたかも政策金利の最終到達点であるかのように見られていることに疑問を感じる向きがある。政策運営に当たり中立金利を参照する一方で、事前に中立金利をピンポイントに定めるのではなく、経済や物価の反応を見ながら引き締め的な水準と緩和的な水準の分水嶺を見極めていくというのが基本姿勢だ。経済や物価情勢次第で1%を上回って利上げを進めていく可能性も排除されないが、その際に重要なのは利上げによって経済や物価に変調が出てくるのかだ。
政策金利が緩和的かどうか、その示唆を提供するものとして、日銀では金融環境、とりわけ金融機関の貸出動向が注目されている。8日に発表された11月の預金・貸出動向によれば、銀行・信金計の貸出平残は前年比4.2%増の652兆5470億円。M&A(企業の合併や買収)や不動産関連、経済活動の正常化に伴う資金需要が続き、残高は2000年1月以降の最高を更新し続けている。
日銀短観で見ても、金融機関の貸出態度や企業の資金繰りは足元で金融環境が緩和的なことを示している。
<0.75%で変調は>
0.25%から0.5%に利上げしても貸出の増勢は変化なく、日銀では0.75%に利上げしても貸出のトレンドに大きな影響は生じないのではないかとの見方が出ている。
利上げの場合、金融機関が貸出金利に適用していく時期や金利上乗せの程度はまちまちだが、もし政策金利が引き締め領域に入っていくとすれば貸出動向に変調が出てくるはずで、日銀はその転換点がどの時点で訪れるのか、経済や物価その他の動向とともに注視していくとみられる。
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