フィッチ、ハンガリー格付け見通し引き下げ 総選挙控え財政悪化懸念
欧州格付け会社フィッチ・レーティングスは5日、ハンガリーの信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。写真は同国のオルバン首相。米ワシントンで11月7日撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)
Gergely Szakacs Krisha Bhatt
[5日 ロイター] - 欧州格付け会社フィッチ・レーティングスは5日、ハンガリーの信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。来年の総選挙を控えてさらなる財政出動策が打ち出されるリスクがあるなど、財政悪化が見込まれるため。
総選挙前の財政出動によってハンガリーの財政問題は深刻化しており、総選挙後の回復への道筋は厄介になりそうだ。
それでもフィッチは、ハンガリーの信用格付けを「BBB」に据え置いた。これについてハンガリー経済省は、欧州で過去1年間に格付けの引き下げが相次いだことを踏まえると、格付けが据え置かれたのは「大きな成果」だと強調した。
2010年に就任したハンガリーのオルバン首相は、22年のロシアによるウクライナ侵攻を受けた物価高騰で打撃を受けた経済を再生させるのに苦戦している。これを受け、財政は逼迫している。
フィッチは、ハンガリーの財政緩和措置の総費用が26年に国内総生産(GDP)の2.1%相当まで上昇すると推計。累積債務は27年までにGDPの74.6%に膨らむと見込んだ。
フィッチは「政府の目標が頻繁に修正されることが政策の予測可能性を低下させるとともに、財政リスクを高めている」と指摘。来年の財政赤字はGDPの5.6%相当になると予想し、これは政府目標の5%を上回る。
米格付け会社S&Pグローバルも今年4月、ハンガリーの格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げた。向こう2年間にわたり財政および対外的な安定性を巡るリスクが高まったとした。
フィッチは、ハンガリーの信頼できる財政再建戦略の欠如や、外国からの直接投資の減少による景気低迷の長期化が、信用格付けの引き下げに結び付く可能性があると指摘。
一方、財政再建ペースが予想より加速したり、中期的な成長見通しを改善させる改革が実施されたりすれば、格付けの改善に追い風となり得ると付け加えた。





