ニュース速報
ワールド

米SEC、株主提案の除外審査を一時停止 アクティビストに逆風

2025年11月18日(火)13時36分

2025年4月22日、ワシントンD.C.のホワイトハウスで行われた証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長の就任式 REUTERS/Kevin Lamarque

Ross Kerber

[17日 ロイター] - 米証券取引委員会(SEC)は17日、株主提案への投票を回避するために企業が行う一般的な異議申し立てについて、少なくとも2026年6月までは個別に判断を示さない方針を示した。

これにより、気候変動や従業員の多様性といった議案でアクティビスト投資家が企業に株主投票を強制するハードルが高まるとみられる。

SECが審査を見送るのは「株主提案が期限内に提出されなかった」「提出者が十分な株式を保有していない」といった一般的な異議申し立て。例外として、企業が州法などの法的根拠を理由に株主提案の除外を主張する場合は、SECが審査する。

トランプ大統領が任命したアトキンスSEC委員長は先月、株主提案の多くが、デラウェア州法に照らして不適切だとの認識を示していた。

法律事務所フレッシュフィールズのパートナー、エリック・ガーディング氏は、これについて、企業は州法を根拠に除外申請を行うようになると指摘。デラウェア州の裁判所と州議会がアトキンス氏の見解を支持すれば「今ある形の株主提案が消滅する可能性がある」と述べた。

ファンド業界の幹部は、企業が最近、環境・社会・ガバナンス(ESG)の問題に関して自主的な取り組みを進めているため、ファンド側の賛成が以前ほど必要でなくなっていると指摘。

また、多くの共和党員はESGの取り組みに批判的で、SECもアクティビスト投資家の影響力低下につながる措置をすでに講じている。

ESGアクティビストの代理人を務める弁護士サンフォード・ルイス氏は、今回の措置について「株主の権利に対する極端な攻撃だ」とし、ほぼ全ての株主提案が阻止されかねないと警告した。

SECの報道官は、政府機関の閉鎖期間中に900件を超える申請が受理されており、今回の決定により、スタッフが緊急性の高い案件の審査に専念できると説明している。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米シャーロットの移民摘発、2日間で130人以上拘束

ビジネス

高市政権の経済対策「柱だて」追加へ、新たに予備費計

ビジネス

アングル:長期金利1.8%視野、「責任ある積極財政

ビジネス

米SEC、仮想通貨業界を重点監督対象とせず
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中