スイス中銀、第3四半期利益は279億スイスフランに急増
        	写真はスイス国立銀行(SNB)本部の外観。2024年3月、チューリヒで撮影。REUTERS/Denis Balibouse
John Revill
[チューリヒ 31日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が10月31日発表した2025年第3・四半期決算(7―9月)の利益は279億3000万スイスフラン(約350億ドル)となり、前年同期の567万スイスフランを大きく上回ったと発表した。金(ゴールド)価格が急騰して評価益が高まり、全体の利益を押し上げた。
SNBは保有する金で143億3000万スイスフランの評価益を計上し、前年同期の44億1000万スイスフランを大きく上回った。金の評価益は、2000年に金評価額を時価ベースで損益計算書に組み入れて以降で最高額になった。
スイス金融大手UBSの試算によると、過去10年間の金保有による四半期の平均評価益は20億スイスフラン未満で、これも大幅に上回った。
SNBは金保有量を1040トンに据え置いていた。政治的・地政学的な不確実性が高まっているのをヘッジする動きにより、金価格は25年に入ってから53%上昇している。
外国為替市場でのドル安が、他の通貨を保有している投資家にとって金の購入コストを押し下げ、需要を刺激した。他にも、リスクが比較的低い資産の国債は米連邦準備理事会(FRB)の政策金利引き下げが利回りを低下させており、これも金の魅力を高めた。
UBSのエコノミスト、フロリアン・ジェルマニエ氏は「SNBが金でこれほどの利益を上げるのは極めて異例だが、この利益は今年の金価格の大幅な上昇を反映している」とした上で、「この利益は究極の安全資産とみなされ、SNBが資産分散と金融政策実施のために保有を義務付けられている資産を持つことの純粋に好ましい副産物だ」と指摘した。
第3・四半期の外貨ポジション(外貨建て債券・株式)も136億3000万スイスフランの利益を計上した。





