アングル:元高校アメフト選手の銃乱射事件、慢性外傷性脳症に改めて注目

元高校アメフト選手のシェーン・タムラ容疑者(27)が米ニューヨークのオフィスで銃を乱射した事件をきっかけに、アマチュア・アメフト選手の脳損傷を巡る管理方法に改めて注目が集まっている。写真は米ユタ州で行われた高校フットボールの試合。2020年8月撮影(2025年 ロイター/George Frey)
Amy Tennery Angelica Medina
[ニューヨーク 4日 ロイター] - 元高校アメフト選手のシェーン・タムラ容疑者(27)が米ニューヨークのオフィスで銃を乱射した事件をきっかけに、アマチュア・アメフト選手の脳損傷を巡る管理方法に改めて注目が集まっている。
タムラ容疑者は米プロフットボール(NFL)事務局の入るビルで4人を射殺した後、自ら命を絶った。自分がこうした行動を起こしたのは慢性外傷性脳症(CTE)とNFLのせいだとするメモを残していた。
容疑者は過去にロサンゼルスの高校で選手だったが、CTEとは診断されておらず、この疾患は死後にしか最終的に確認できない。ニューヨーク市首席検視官事務所は、解剖時に神経病理学的評価を実施し、数週間後に結果が判明する見込みだと発表した。
だが、若年アスリートで繰り返し発生する脳の症状を巡っては、追跡・管理の手法の有効性がたびたび疑問視されており、今回の事件を受けて再び厳しい目が向けられている。
米国の高校アメフトを監督する全米州高校体育協会連盟(NFHS)のカリッサ・ニーホフ代表は、連盟が「毎年報告される深刻な脳しんとうの件数を把握していない」と述べた。「脳しんとうは全ての年齢層とさまざまな活動で発生するが、報告されないことが多い。学校レベルでは、学校の看護師、アスレチックトレーナー、またはコーチにしか報告されない可能性がある」という。
脳しんとうの症状は独特で予測不能であり、雪の結晶(スノーフレーク)が1つずつ異なることに例えて「スノーフレーク傷害」と呼ばれることもある。学生の卒業後は州が監督権限を失うため、NFHSのような組織が学生アスリートを監視することは困難だ。
2023年にボストン大学CTEセンターが30歳未満で死亡した152人の若者、高校生、大学生アスリート(大半がアメフト選手)の脳を調査した研究では、41%にCTEの兆候が認められた。
死因で最も多かったのは自殺だが、症状のあるアスリート全てがCTEを患っていたわけではなかった。脳障害を有する群とそうでない群の間で、臨床症状に統計的に有意な差はなかった。
センターのアン・マッキー所長は「彼らは高校や大学でしかプレーしていなかったのに、CTEの変化が進行していた。アマチュアレベルのスポーツをする子どもらがリスクにさらされていることは十分に理解されていない。これはプロ選手だけの病気ではない」と述べ、公衆衛生問題だと指摘。「アマチュアレベルでの対応が急務だ」と訴えた。
NFHSのデータによると、脳しんとうを経験した選手の約30%は、症状が4週間以上続く可能性がある。ボストン大CTEセンターと異なり、NFHSはアマチュアスポーツにおける脳の損傷を公衆衛生上の懸念とみなしていない。
頭部損傷が疑われる選手を保護するためのプロトコル(規定)は存在し、全てのレベルで即時のプレー中止が義務付けられている。だが、プロとアマチュアの規定には重大な違いがある。
NFLは、外部の神経科医による評価を含む5段階の復帰プロセスを採用している。これに対し、大半の高校は外部の神経科医を雇う余裕がなく、脳しんとうについての専門的訓練を受けていない可能性のあるアスレチックトレーナーに、負傷した選手に関する判断を委ねている。
選手の安全にはテクノロジーも一役買っている。プロチームはヘルメット衝撃センサーと分析ツールを駆使して、衝撃を監視している。ただ、こうした技術を利用できる高校は珍しく、視覚的な観察と選手の自己申告に頼っている。そして選手は、プレー続行という圧力を感じる可能性がある。
<誰もが攻撃的になるわけではない>
CTEを患う人々の中には攻撃的になる人もいるが、暴力的になるとは限らない。
死後にCTEと診断された元NFL選手は何人もいる。
その一部は激しいスポーツで輝かしいキャリアをたどった後、認知症やうつ病を患った。自殺した元選手もいる。ジョバン・ベルチャーは交際相手を射殺した後、自ら命を絶った。アーロン・ヘルナンデスは殺人の有罪判決を受け、27歳で獄中自殺した。
テキサス大の神経学臨床教授、ブレント・マセル氏は「攻撃的な行動は症候群の一部である可能性があるが、普遍的なものではなく、なぜ一部の患者が発症し、他の患者が発症しないのかは不明だ。脳のどこに問題があるのか説明できない。解明にはまだ程遠い状態だ」と話した。「アルツハイマー病と同様、一部の人は攻撃的になり、一部はならない。なぜそうなるのか、誰に起こるのか分かっていない」という。
予防と治療の進展は遅い。
マセル氏は「CTEの予防に関しては、ほとんど進展がない。症状の治療が少し改善された程度だ」と言う。
同氏は「接触スポーツの経験があるアスリート全員が精神的な問題を発症するわけではない」と指摘。「何としても避けたいのは、『自分の子どもがタムラ容疑者と同じようなことをするかもしれない』と全員がパニックになることだ。最も重要なのは、そうした事態になる可能性は極めて低いと、市民を安心させることだ」と語った。
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