ニュース速報
ワールド

インド中銀、成長支援へ預金準備率引き下げ 金利は据え置き

2024年12月06日(金)18時18分

 12月6日、インド準備銀行(中央銀行)は主要金利のレポレートを6.50%に据え置いた。中銀のロゴ、ムンバイで昨年4月撮影(2024年 ロイター/Francis Mascarenhas)

Swati Bhat Sudipto Ganguly

[ムンバイ 6日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は6日、主要金利のレポレートを6.50%に据え置いた。据え置きは11会合連続。依然として高いインフレを理由に挙げた。

一方、銀行に義務付けている預金準備率(CRR)を引き下げ、経済成長が鈍化する中で金融環境を事実上緩和した。

インドの7─9月期国内総生産(GDP)は前年比5.4%増で、4─6月期の6.7%増から減速し、7四半期ぶりの低成長となった。

一方インフレ率は再び加速、ルピーは過去最安値に下落し、来年に向けて中銀の政策余地は限定的となっている。

CRRは14日と28日の2回に分けて50ベーシスポイント(bp)引き下げられ、4%になる。これにより、1兆1600億ルピー(137億2000万ドル)が銀行システムに注入される。引き下げは2020年3月以来。

金融政策委員会(MPC)はメンバー6人のうち4人が据え置きに賛成した。政策スタンスも「中立」が維持された。3人の外部メンバーのうち2人は25bpの引き下げを主張した。

10日に任期が終了するダス総裁を含めた3人の当局者は据え置きを支持した。

総裁は、物価安定は購買力に影響を与えるため国民にとって重要だと指摘。高い経済成長を確保するには息の長い物価安定が極めて重要だと述べた。

成長は底堅いとする一方、成長鈍化が長引く場合には政策支援が必要になる可能性があると語った。

また「中央銀行の使命に反射的な反応の余地はない」と述べ、インフレ見通しについてはさらに「信頼できる証拠」が必要だと付け加えた。

インディア・レーティングス・アンド・リサーチのチーフエコノミスト、デベドラ・クマール・パント氏は「流動性強化のためのCRR引き下げは市場金利に影響を及ぼす可能性が高い」と述べた。流動性逼迫で翌日物銀行間金利はレポレートの6.5%を上回る傾向にある。

またパント氏は、成長見通しは弱まっているが、インフレはどの経済にとっても最大のリスクだとし、来年2月の利下げはなお確実ではなく、指標次第だと話した。

エコノミストの多くは2月の利下げを予想しているが、キャピタル・エコノミクスは4月に延期される可能性があると指摘。CRR引き下げは成長に対する懸念の高まりを反映しているものの、インフレ抑制が引き続き優先課題との見方を示した。

中銀の発表を受け、インドの10年債利回りは4bp上昇し6.7214%となった一方、ルピーは1ドル=84.66ルピーから84.67ルピーとなったもののほぼ変わらず。主要株価指数は小幅上昇した。

中銀は今年度のインフレ予想を従来の4.5%から4.8%に引き上げた。

ダス氏は、GDP鈍化は7─9月期に底を打ち、その後数カ月は祝祭向けの支出や好調な農業生産にけん引されて回復したと指摘。ただ中銀は、25年3月までの通年成長予想を従来の7.2%から6.6%に引き下げた。

また中銀は、10月と11月のドル高と株式市場からの資金流出で過去最安値に下落したルピー対策として、非居住者向け外貨預金(FCNR─B)の金利上限を引き上げた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

台湾閣僚、「中国は武力行使を準備」 陥落すればアジ

ワールド

米控訴裁、中南米4カ国からの移民の保護取り消しを支

ワールド

アングル:米保守派カーク氏殺害の疑い ユタ州在住の

ワールド

米トランプ政権、子ども死亡25例を「新型コロナワク
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 8
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中