ニュース速報

ワールド

ペルー議会、カスティジョ氏罷免 副大統領が初の女性大統領に就任

2022年12月08日(木)13時02分

ペルー議会は、カスティジョ大統領を罷免した。写真はカスティジョ大統領に対する抗議活動。7日、リマで撮影(2022年 ロイター/Alessandro Cinque)

[リマ 7日 ロイター] - ペルー議会は7日、カスティジョ大統領を罷免した。ボルアルテ副大統領が同日、大統領に就任し同国初の女性大統領となった。2026年まで政権を担当する。

カスティジョ氏は一時的な議会の閉鎖などを宣言したが、議員らがそれを無視して罷免決議案の審議を進めた。賛成101票、反対6票、棄権10票の採決結果が発表されると、拍手喝采が巻き起こった。

ボルアルテ氏は、危機を克服するために政治的休戦を呼びかけ、あらゆる政治的見解を反映した新内閣が形成されると述べた。議会閉鎖を試みたカスティジョ氏の行動を「クーデター未遂」と非難した。

検察庁はその後、憲法の秩序を乱した「反逆」と「陰謀」の容疑でカスティジョ氏を拘束したと発表した。

首都リマでは数十人が街頭に出てペルーの国旗を掲げ、カスティジョ氏の失脚を祝った。一方南部アレキパなどでは同氏の支持者が抗議デモを行い警官隊と衝突した。

政治的な混乱を受け、同国の金融市場には動揺が広がったが、大統領就任以来、議会と対立してきたカスティジョ氏の罷免は投資家にとってプラスになる可能性があるとアナリストは指摘する。

通貨ペルーソルは対ドルで一時2%超下落したが、その後はやや持ち直し1.4%安に下げ幅を縮小している。

パンテオン・マクロエコノミクスのアンドレス・アバディア氏は「ペルーの金融市場は厳しい展開が見込まれるが、主に国内の堅調なファンダメンタルズに支援され崩壊することはないだろう」と述べた。

<米国は新政権を歓迎>

ペルーは政治の混乱が何年も続いており、歴代大統領に汚職疑惑が浮上したり罷免決議案が提出されることが何度もあった。

検察は10月にカスティジョ氏が「犯罪組織」に便宜を図ったなどとして訴えを起こしていた。

2021年7月に大統領に就任した同氏を巡っては過去に2回、罷免決議案が採決にかけられたが、必要な票数に届かず失職を免れていた。

米国のリサ・ケンナ駐ペルー大使はツイッター上で「米国はカスティジョ氏による議会の責務遂行を妨げるいかなる超憲法的な行為も断固として拒否する」と表明した。

その後、米国務省報道官はボルアルテ氏の大統領就任を歓迎し、同氏が約束した挙国一致政府を支援するとの声明を発表した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中