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米2月雇用、9.2万人減で予想外のマイナス 失業率4.4%に悪化

2026年03月07日(土)04時18分

米労働省が6日発表した2月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は9万2000人減少し、1月の12万6000人増(速報値13万人増から下方修正)から悪化した。2016年5月ニューヨークで撮影(2026年 ロイター/Brendan McDermid)

Lucia Mutikani

[ワシ‌ントン 6日 ロイター] - 米労働省が6日発表した2月の雇用統計‌によると、非農業部門雇用者数が9万2000人減少した。1月の12万6000人増(速報値13万人増から​下方修正)から反転し、予想外のマイナスとなった。失業率は4.4%と、1月の4.3%から悪化。中東緊迫化で原油価格が急騰する中、労働市場の⁠悪化が示されたことで、米連邦準備理事​会(FRB)は物価安定と雇用安定の間で難しい舵取りを迫られる。

非農業部門就業者数の減少は2025年1月以降6回目で、今回の落ち込みはその中で2番目の大きさ。医療従事者のストライキのほか、厳しい冬の天候で建設業やレジャー・接客業の雇用が圧迫されたことがが響いた。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は5万9000人増。ただ、予想は9000人減から12万5000人増まで幅が広かった。

<FRBは難し⁠い舵取り>

一部のエコノミストは単月の統計を過度に解釈すべきでないと慎重姿勢を示しているものの、2月までの3カ月間の平均雇用増は月6000人と、1月までの3カ月間の平均(5万人増)から大きく減速。雇用増の基⁠調は確実​に弱まっている。

モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのチーフ経済ストラテジスト、エレン・ゼントナー氏は、今回の雇用統計を受けFRBは難しい立場に立たされたと指摘。「労働市場が大幅に弱体化すれば利下げを正当化する根拠になるが、原油価格が高止まりすれば再びインフレ圧力が高まるリスクがあり、FRBは身動きが取れなくなる」と述べた。

JPモルガン・ウェルス・マネジメントの投資戦略責任者、エリーゼ・オーセンボー氏は「FRBはこれまで労働市場は安定しているとして追加⁠利下げを先送りしてきたが、今回の雇用統計を受けそうした説明は困難にな‌る」と指摘。フィッチ・レーティングスの米経済責任者、オルー・ソノラ氏は、今回の雇用統計は「どこか⁠ら見ても⁠悪かった」とし、「関税問題の再燃、エネルギー価格の上昇、新たなインフレ圧力を踏まえると、FRBは身動きが取れない状態に陥る」との見方を示した。

FRBは1月の連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を3.50─3.75%に据え置くと決定。現時点では今月17─18日の次回会合でも金利据え置きが決定されるとの見方が大勢だが、今回の雇用統計を受け、6月の会合で利下げが決定され‌るとの観測が高まった。

<労働参加率低下、平均時給微増>

週平均労働時間は34.3時間と、1月から横ばい。平均時​給は37.32ドルと、‌前月比0.4%上昇。伸びは1月から横ばいだった。⁠ただ前年同月比では3.8%上昇し、伸びは1月の3.7%からわずかに​加速。堅調な賃金の伸びは消費支出の下支えになる。

労働参加率は62.0%と、1月の62.1%(下方修正)から低下。2021年12月以来の低水準を付けた。

家計調査ベースの雇用者数は18万5000人減少。失業率が上昇する一因になった。

EYパルテノンのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「労働力人口の増加ペースは明らかに鈍化しており、労働力の供給余力は大きく低下している」と指摘。「賃金上昇圧力が高い状態が続く可能性がある」としている。

<ほぼ‌全ての業種で雇用減>

雇用減はほぼ全ての業種に及び、中でも医療部門が最も大きく落ち込んだ。医療部門は1月に7万7000人増と大幅に増加した反動もあり、2万8000人減。医療従事者によるストライキと悪天候​が影響したとみられている。

情報産業は1万1000人減、連邦政府は1万人減。運⁠輸・倉庫は宅配部門が大きく落ち込み、1万1000人減少した。

建設は悪天候が影響し、1万1000人減。レジャー・接客は2万7000人減。大半はレストランやバーなどの飲食業での減少だった。全米の広い地域が大雪や厳しい寒波に見舞われ、外出を控える人が多かったこと​が響いた。

製造業は1万2000人減。トランプ大統領が関税措置などを通じて国内製造業の復活を強調しているにもかかわらず、製造業の雇用はトランプ氏が大統領に返り咲いてから、おおむね減少が続いている。専門・ビジネスサービス部門も減少した。

一方、社会支援や金融を含む一部の部門では小幅ながらも増加した。

雇用増を報告した産業の割合は50.8%。1月は54.6%だった。

ロイター
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