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イーライリリーの新経口肥満症薬、FDAの新迅速承認制度の候補に

2025年10月31日(金)11時55分

 米製薬大手イーライリリーは30日、開発中の経口肥満症治療薬「オルフォルグリプロン」について、米食品医薬品局(FDA)の新制度「国家優先バウチャー(CNPV)」プログラムの基準の大半を満たしたと発表した。同社ロゴの資料写真(2025年 ロイター/Antranik Tavitian)

Mrinalika Roy Patrick Wingrove

[30日 ロイター] - 米製薬大手イーライリリーは30日、開発中の経口肥満症治療薬「オルフォルグリプロン」について、米食品医薬品局(FDA)の新制度「国家優先バウチャー(CNPV)」プログラムの基準の大半を満たしたと発表した。大幅な承認審査の加速化が期待できる有力候補であることが示唆された。

イーライリリーは2025年第4・四半期中にオルフォルグリプロンの審査資料をFDAに提出し、FDAが承認プロセスを決定すると説明した。

FDAは6月、長官が国家優先医薬品にバウチャーを付与できる制度を発表。これにより、対象になれば審査期間が約10─12カ月から1─2カ月に短縮される。

優先基準には、革新的な医薬品、健康危機や満たされていないニーズを満たす医薬品、国内製造を促進する医薬品などが含まれる。イーライリリーは、オルフォルグリプロンは4つの基準のうち3つを満たすと解説した。

この日発表した第3・四半期決算は1株当たり利益が7.02ドルとなり、LSEGがまとめたアナリストらの市場予想平均の5.69ドルを大幅に上回った。

第3・四半期のGLP-1受容体作動薬「ゼップバウンド」の売上高は36億ドルで、市場予想の32億3000万ドルを上回った。糖尿病薬「マンジャロ」の売上高は65億ドルで、市場予想の57億3000万ドルを超えた。両薬は同一の有効成分チルゼパチドを含有する。

マンジャロは米国外で肥満症と2型糖尿病治療に用いられる商標。米国で減量薬としてはゼップバウンドの商標で販売されている。

グッゲンハイムのアナリストらは、米国外でのマンジャロの売上高が四半期予想を10億ドル近く上回ったと指摘した。

イーライリリーは25年通期決算の調整後1株当たり利益見通しを従来予想の21.75─23ドルから23.00─23.70ドルへ上方修正した。市場予想は22.18ドル。売上高も従来予想の600億─620億ドルから630億─635億ドルへ引き上げた。

2023年に承認されたゼップバウンドは急速に普及。現在では2年余り前に市場導入されたデンマーク製薬大手ノボノルディスクの競合薬「ウゴービ」を大幅に上回る処方箋数を記録している。

ロイター
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