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米国の保護主義、本格化すれば世界経済は停滞も=ANA取締役
1月27日、ANAHDの平子裕志執行役員は決算会見で、トランプ米大統領が相次いで打ち出している政策について「保護主義的な動きが本格的になってくると世界経済が停滞する可能性が出てくる」と警戒感を示した。写真はロゴ、羽田空港で2013年1月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 27日 ロイター] - ANAホールディングス<9202.T>の平子裕志取締役は27日の決算会見で、トランプ米大統領が相次いで打ち出している政策について「時間をかけて見る必要がある」とした上で、「保護主義的な動きが本格的になってくると、世界経済が停滞する可能性が出てくる」と警戒感を示した。
トランプ大統領は、環太平洋経済連携協定(TPP)からの脱退、カナダ、メキシコと締結している北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉表明など公約通り実行に移しており、平子氏は「昔のような貿易摩擦ということになると物流、人の流れなどを生業(なりわい)としている会社にとってはつらい」と述べた。
2月15日から就航する成田発のメキシコシティ線については、ボーイング787―8型機による毎日1往復の運航計画に「変更はない」という。予約状況は2月が70%弱とほぼ計画通りで、北米線全体(ホノルル除く米国、カナダ)の予約率より高い。3月も40%弱で「手応えは十分」という。今後は「ビジネス需要に加え、アジアからメキシコへの観光需要を刺激していくことも大事だ」と語った。
日系航空会社によるメキシコ直行便就航はANAが初めて。自動車産業を中心に両国が経済的結びつきを年々強めていることで、約3年前から検討し、自動車関連企業の進出に伴う需要を見込んで直行便就航を決めた。
ただ、米国第一主義を掲げるトランプ大統領は、メキシコに米国向け車両を生産する工場を新設するトヨタ自動車<7203.T>を批判したり、メキシコとの国境沿いに建設する壁の費用を捻出するため同国からの輸入品に20%の関税をかける案も検討するなどしている。今のところトヨタのメキシコでの工場新設計画に変更はないが、トランプ大統領の貿易政策の方向性によっては日本企業も事業戦略見直しを迫られる懸念が出ている。
ANAの2016年4―12月期連結決算では、営業利益が前年同期比11.5%増の1302億円と2年連続で過去最高だった。国際線でのビジネス客が増えた。12月まで計画に対して上振れて推移しているが、トランプ政権の政策など先行き不透明感が強く、17年3月期通期の連結業績予想は維持する。
通期営業利益予想は1450億円。トムソン・ロイターのスターマイン調査によると、アナリスト14人の予測平均値は1463億円となっている。
*内容を追加します。
(白木真紀)