ニュース速報

ビジネス

郵政民営化委、総務省と金融庁から聞き取り 見解の相違鮮明

2015年09月11日(金)20時10分

 9月11日、郵政民営化委員会は民営化推進のあり方について総務省と金融庁から聞き取りを行ったが、限度額引き上げなどをめぐり両者の見解の相違が鮮明になった。金融庁、昨年8月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 11日 ロイター] - 郵政民営化委員会は11日、民営化推進のあり方について総務省と金融庁から聞き取りを行った。焦点のゆうちょ銀行<7182.T>やかんぽ生命<7181.T>の限度額引き上げについては総務省が理解を示す一方、金融庁は資産運用の難しさなどからゆうちょ銀のこれ以上の資産規模拡大をけん制。

両省庁の見解の食い違いが鮮明になった。

総務省は、限度額引き上げを支持する姿勢を打ち出した。同日、民営化委に提出した資料に「限度額に係る利用者等の意見」を掲載。「相続の手続きの際に限度額を超過してしまった」「貯金の限度額については、主に法人、会社経営者から上げてほしいといった要望がある」など、限度額の引き上げや撤廃に好意的な意見ばかりだった。

委員会後に会見した増田寛也委員長によると、総務省の出席者は「限度額引き上げは預け入れる人々の不便を解消するためのものだ」と指摘。引き上げによって問題が生じても「(問題を)解消する術はある」と話したという。

また、限度額を「当面は引き上げない」と明記した2012年の国会の付帯決議について、総務省の出席者は「与党から限度額引き上げの提言を受けているし、国会でも限度額引き上げについての議論があり、当時とは状況が変わってきているのではないか」と述べた。

一方、金融庁はゆうちょ銀の限度額引き上げをけん制した。増田委員長によれば、金融庁からの出席者は限度額引き上げへの反対を明言しなかったものの、「(ゆうちょ銀が)これ以上預金を増やして資産規模を拡大しても、国債を中心とする運用しかない。これ以上の資産規模の拡大は資産運用の制約要因となる。さらに金利リスクも増大してリスク管理も難しくなる」と指摘したという。

さらに、民営化委の委員から「(金融庁は)限度額を引き上げて規模を拡大するより、他の金融機関と連携して多様性を求める方が良いという考え方を持っていると受け取れるが、そういう受け取り方でいいか」と質問された際、金融庁側は「その通り」と答えたという。

民営化委は、麻生太郎金融相と高市早苗総務相からの諮問を受けて郵政3社の上場にあたり民営化のあり方について議論している。郵政3社の上場は11月4日に予定されているが、増田委員長は結論の時期を言明せず、「(調査・審議対象が)多岐にわたるということで、それなりの時間がかかる」と述べるにとどめた。

(和田崇彦)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナへのトマホーク供与検討「して

ワールド

トランプ氏、エヌビディアのAI最先端半導体「他国に

ビジネス

バークシャー、手元資金が過去最高 12四半期連続で

ビジネス

米、高金利で住宅不況も FRBは利下げ加速を=財務
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中