コラム

増税・社会負担増の岸田首相は「2通の封書」を用意すべき時

2023年02月03日(金)08時50分
岸田文雄

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<穏やかそうな雰囲気で「聞く力」を掲げた岸田首相だが、国民の悲鳴は「聞こえない」のか>

【封書】
新たに政権を担うことになった日本の首相が、前首相から1通の封書を手渡された。

前首相が言った。

「もし支持率が下がってきたら、この封書を開けなさい。対処法が書かれているから」

前首相はさらにもう1通の封書を手渡して続けた。

「それでもダメだったら、こちらの封書を開けなさい。最後の対処法が書かれているから」

数カ月後、新政権の政治運営は早くも行き詰まってしまった。首相は藁わらにもすがる思いで1通目の封書を開けた。そこにはこう書かれていた。

「内閣改造せよ」

首相はすぐに内閣改造に着手し、断行した。その結果、支持率は大きく回復した。

しかし、その後、再び支持率は低下してしまった。首相は絶望の淵でこう思った。

(もはや2通目の封書を開けるしかない。きっとまた私を助けてくれるだろう)

首相は大きな期待と共に、2通目の封書を開けた。そこにはこう書かれていた。

「2通の封書を用意せよ」

◇ ◇ ◇

政権発足当時、穏やかそうな雰囲気で支持を集めた岸田文雄首相。首相が強調する「聞く力」に期待した国民も多かったに違いない。しかし、今や支持率は低空飛行である。

「それもそのはず──」の感が否めない。「新しい資本主義」や「資産所得倍増プラン」といった聞き心地のいい言葉を掲げたが、実際に推し進めたことと言えば、物価高騰の中での増税、社会負担増の連続。

議員負担に関する政策はいかにも遅々としているのに、国民の負担増だけは驚くほどの電光石火。ネットでは「岸田に殺される」という言葉がトレンド入りする事態となった。

国民の悲鳴は首相には「聞こえない」のだろうか。もしくは首相の「聞く力」とは「財務省の声」に向けられたものなのだろうか。

では野党はどうか。立憲民主党の小川淳也前政務調査会長はテレビ番組で「消費税は最低で25%は必要」などと熱弁を披露。この国には景気の腰を折りたい政治家しかいないのかと首をかしげたくなる。

プロフィール
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米経済、「信じられないほど」力強い=JPモルガンC

ワールド

北朝鮮、圧倒的な軍事力構築を継続へ─金与正氏=KC

ビジネス

米ビザ、四半期利益が予想上回る 堅調な消費動向で 

ビジネス

米国株式市場=続伸、マグニフィセント7などの決算に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story