コラム

日本の「お家芸」に勝算あり?...アメリカ一強の宇宙ビジネスで「日本が勝つ」方法

2024年11月27日(水)17時01分
宇宙飛行士のイメージ画像

Gorodenkoff-shutterstock

<宇宙ビジネスで「アメリカと張り合うのは現実的ではない」──それでも日本企業には「隙間産業」というチャンスがあるとレオス・キャピタルワークスの藤野英人氏は指摘する>

これまで政府主導で進められてきた宇宙開発事業で、民間企業の参入が活発になっている。日本でも市場規模は徐々に拡大しているが、今後世界で存在感を発揮することはできるのだろうか。

日本の資産運用会社レオス・キャピタルワークスのYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」の動画「加速する宇宙ビジネスに日本企業はどう切り込んでいくのか?プロ投資家の視点で解説!」では、同社の最高投資責任者である藤野英人氏が宇宙ビジネスの今後を予測している。

民間宇宙開発企業の筆頭は、イーロン・マスク氏率いるアメリカのスペースX社。ロケット打ち上げ回数は年間約100回に及び、いまや世界をリードしているといっても過言ではない。

その背景には、「NASA(アメリカ航空宇宙局)との関係が大きく影響している」と藤野氏。NASAは国際宇宙ステーション(ISS)の廃棄計画に伴い、スペースXなどの外部パートナー企業に莫大な資金と技術を提供。結果的に、アメリカの宇宙ビジネスが大きく進展することとなった。

日本政府も民間企業による宇宙開発の資金供給について明確に打ち出しており、「宇宙戦略基金」として最長10年間にわたり1兆円規模で支援する。

では、なぜここまで宇宙ビジネスが注目を集めるのだろうか。藤野氏によると、1つ目の理由は軍事利用だ。宇宙空間には国境の概念がない。人工衛星を利用すれば地球上のあらゆる場所で情報収集や通信、測位が可能となり、軍事のほか農業、土木、気象観測などのさまざまな事業に活用できる。

「長期的に言うと、宇宙ビジネスが注目されるもう1つの理由は資源開発。イーロン・マスク氏には地球に住むのが困難になった人類を火星に移住させるビジョンがある。月や小惑星の資源開発のほか、宇宙旅行、宇宙への移住などのテーマもこれから出てくると思う」と藤野氏は言う。

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米雇用コスト、第3四半期は前期比0.8%上昇 予想

ワールド

ノーベル平和賞マチャド氏、授賞式間に合わず 「自由

ワールド

ベネズエラ沖の麻薬船攻撃、米国民の約半数が反対=世

ワールド

韓国大統領、宗教団体と政治家の関係巡り調査指示
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲う「最強クラス」サイクロン、被害の実態とは?
  • 4
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 9
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story