コラム

講義を聞く猫 ── オンラインコミュニティから進む韓国の野良猫対策

2016年02月23日(火)18時45分

日本も韓国もペットに関する悩みは同じ

 日本にはネコノミクスなるものが存在すると聞いた。2月3日付産経新聞によると、猫の駅長に会いたくて観光客が増えたとか、猫を集めるスマホゲームが大ヒットしたとか、日本における猫による経済効果「ネコノミクス」は約2兆3千億円にのぼるそうだ。さらに驚いたことに、一般社団法人ペットフード協会の「2015年度全国犬猫飼育実態調査」によると、日本では犬よりも猫を飼っている家が多いとか。

 韓国では「猫は魔物」だとして嫌がる人が多く、昔から犬好きの方が圧倒的に多い。古いデータではあるが、2013年韓国ギャロップが調査したところ、韓国の全世帯のうちペットを飼っている割合は17.4%で、1000万世帯を超えた。飼っているペットは犬が47.3%で最も多く、猫2.2%、鳥1.6%、うさぎ1.0%、ハムスター0.4%の順だった。ペットフードを製造販売しているCJ第一製糖の調べによると、2013年時点で韓国のペット市場規模は1兆8000億ウォン(約1800億円)、2020年には6兆ウォン(約6000億円)になる見込みである。それでもまだまだ日本にはかなわない。

 ところが最近、韓国人のSNSでのペット自慢を見ていると、犬より猫の方が多い気がする。オンライン掲示板では犬より猫のほうが「いいね!」の数も多く、猫の「堂々としているけどどこかまぬけ」な写真や動画が人気を集めている。

 韓国には野良猫という言葉がなく、飼い主のない猫はみんな「泥棒猫」と呼んでいた。最近やっと野良猫を「キルゴヤンイ(道猫)」と呼ぶようになった。キルゴヤンイの世話をする「キャットマム(猫のお母さん)」も急増している。そして韓国も日本と同じく、キルゴヤンイの餌やりが近所トラブルの原因になったりもする。

 韓国のポータルサイトDAUMには「ストーリーファンディング」というコーナーがある。「○○のために○月×日まで目標金額○○万ウォンの募金を受け付けます」という内容のストーリーを公開し、ネットユーザーから少額ずつ寄付をしてもらう。例えばドキュメンタリー映画の制作資金のため募金をすると、寄付した金額に応じて上映会のチケットをプレゼントしたり、映画のタイトルを書いたマグカップをプレゼントしたり、ちょっとしたお返しももらえる。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...その正体は身近な「あの生き物」
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 8
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 9
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 10
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story