コラム

サムスン電子「ラジオが聴ける冷蔵庫」を発売した理由は? 韓国人のラジオの時間

2016年01月22日(金)18時10分

 韓国の政府系シンクタンクが2015年夏に公開したラジオの利用動向調査によると、ラジオの主なリスナーは30代以上だった。10代のラジオ利用経験率は毎年急激に減少していて、週に1度以上ラジオを聴く割合は2012年10.8%から2014年5.8%にまで落ちた。20代でも2012年18.9%から2014年11.1%に落ちている。

 一方で、ラジオを週1回以上聴いていると答えた10〜50代男女のラジオの聴取時間はどんどん伸びている。スマートフォンを利用したラジオの聴取時間は2012年1日平均54.5分から2014年同77.3分に増加した。

 IoT(Internet of Things、全てのものがインターネットにつながる)の時代になってから、韓国ではラジオが聴ける冷蔵庫も登場した。サムスン電子は2016年1月、米ラスベガスで行われた家電展示会CES2016 で展示した「ファミリーハブ冷蔵庫」は、冷蔵庫のドアに21.5インチのタッチパネルとスピーカー、ネットワーク機能を取りつけた。アプリケーションをインストールしてラジオを聴いたり、音楽ファイルを再生したり、スマートテレビとつなげて映像を見たり、他の家電を制御したり、家族写真やメモを掲載したりといったことができる冷蔵庫である。韓国の主婦はキッチンで料理をしながらラジオを聴くのが好きなのかもしれない。時代は変わってもラジオはまだまだがんばっている。


韓国サムスン電子は1月5日CES 2016で「家族が集まるキッチンの主役的な家電」に位置づけた「ファミリーハブ冷蔵庫」を年内に北米市場で発売すると発表。一方、LG電子もLINEを使って問い合わせると庫内にある食品を回答する「スマート冷蔵庫」を開発中という。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

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