最新記事
台湾有事

台湾有事が「日本有事」を誘発する可能性大...最前線の南西部離島で広まる危機感、備えは十分か?

THE WAR PREP ISLANDS

2025年7月24日(木)14時50分
ジョン・フェン(東アジア政治担当)
富士総合火力演習

陸上自衛隊の実弾射撃演習「富士総合火力演習」は離島での戦闘を想定している(写真は23年5月) TOMOHIRO OHSUMI/GETTY IMAGES

<習近平は2027年までに、台湾を制圧できる体制を取れるよう人民解放軍に指示している。台湾をめぐって米中が激突した場合、日本も無関係ではいられない>

日本は、台湾に最も近い自国の島々に避難シェルターを建設する計画を進めている。対象となるのは沖縄県・先島諸島の5市町村で、早い自治体では今年中にも工事が始まる予定だ。

背景にあるのは、中国とアメリカが開戦に踏み切った場合、日本の最西端の島々が中国によるミサイル攻撃の標的になりかねないという懸念だ。この計画が想定するのは、中国が台湾占領の既成事実化を図るため太平洋にあるアメリカと同盟国の主要基地を先制攻撃し、さらに海と空から台湾に侵攻するというシナリオ。アメリカと安全保障条約を結ぶ日本には、米国外で最多の米軍部隊が駐留している。近海で起こる大国間の紛争の影響を免れる見込みは、非常に薄い。


中国共産党は台湾を中国の一部だと主張し、中台統一を果たすために武力を行使する可能性を否定していない。軍事力で圧倒的優位に立つ中国が台湾に圧力をかけ、譲歩を強いるのではないかという懸念が高まっている。

米政府当局者らによれば、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は人民解放軍に対し、台湾を制圧できる態勢を2027年までに整えるよう指示した。軍備がそろったとしても、実際に侵攻するという政治的決断にすぐにつながるかどうかは分からない。だが中国政府当局者の間で、台湾問題が米中関係の核とみられていることは確かだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

上海でAI会議開幕、中国の李首相は世界的な協力組織

ビジネス

NASA、職員の20%が退職へ=広報

ワールド

タイとカンボジアの衝突3日目に、互いに停戦と交渉開

ワールド

台湾でリコール投票始まる、野党議員24人の解職に是
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:山に挑む
特集:山に挑む
2025年7月29日号(7/23発売)

野外のロッククライミングから屋内のボルダリングまで、心と身体に健康をもたらすクライミングが世界的に大ブーム

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 2
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心中」してしまうのか
  • 3
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や流域住民への影響は?下流国との外交問題必至
  • 4
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 5
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 6
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 7
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 8
    レタスの葉に「密集した無数の球体」が...「いつもの…
  • 9
    機密だらけ...イラン攻撃で注目、米軍「B-2ステルス…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「電力消費量」が多い国はどこ?
  • 1
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 2
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人口学者...経済への影響は「制裁よりも深刻」
  • 3
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心中」してしまうのか
  • 4
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞…
  • 5
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 8
    「カロリーを減らせば痩せる」は間違いだった...減量…
  • 9
    父の急死後、「日本最年少」の上場企業社長に...サン…
  • 10
    約558億円で「過去の自分」を取り戻す...テイラー・…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 6
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中