最新記事

韓国

日本のノーベル賞受賞に思う、日本と韓国の教育の違い

2019年11月15日(金)19時40分
崔 碩栄(ジャーナリスト)※時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」より転載

そして「国語」の時間。私は小学生の時、作文が好きだった。たまには先生に褒められたり、校内で賞をもらったりもした。先生の激励と賞というご褒美が私にとって高いモチベーションになったことは言うまでもない。しかし、3年間の高校時代、国語や現代文学の時間には「作文」するチャンスがなかった。授業中、ただの一度も自分の意見や考えを文章として表現する機会がなかったのだ。学校では大学入試のための準備、問題集ばかりやっていた。一方的な「入力」だけがあり、自分の意見、発想を披露する「出力」の機会が全くなかったのだ。

私は、日本で同世代の日本人に会うたびに中高校時代の話を聞いてみた。すると地域、学校による多少の差はあっても、ほとんどの人は多かれ少なかれ実験、作文の機会はあったという。正直うらやましかった。普通の日本人はそこに大きな意味があると思わないかもしれないが、そこに韓国と日本の大きな差があると思う。学生時代に好奇心、興味、モチベーションを感じる経験の有無は計り知れないほど大きいからだ。

80年代の韓国では残念ながら大学入試という「目標」だけが優先され、全て机の前に座り、教科書と問題集だけに全てのエネルギーを費やした。とはいえ、私と同じような教育を受けたのは私と同じ世代か、もう一つ下の世代ぐらいまでだろう(今、いわゆる働き盛りといわれる世代だ)。

80年代のソウルの学校は1クラス60人という過密な環境だったが、今は30人前後。そして教育内容も改善され音楽、芸術、体育も充実し、学生の個性を育てる教育を行っていると聞く。彼らが大人になったときには、創造的な発想を持ち、個性的な研究を成し遂げることができるかもしれないと、淡い期待を抱いている。

[執筆者]
崔 碩栄(チェ・ソギョン)
ジャーナリスト
1972年生まれ、韓国ソウル出身。高校時代から日本語を勉強し、大学で日本学を専攻。1999年来日し、国立大学の大学院で教育学修士号を取得。大学院修了後は劇団四季、ガンホー・オンライン・エンターテイメントなど日本の企業に勤務。その後、フリーライターとして執筆活動を続ける。著書に「韓国人が書いた 韓国が『反日国家』である本当の理由」「韓国人が書いた 韓国で行われている『反日教育』の実態」(ともに彩図社)、「『反日モンスター』はこうして作られた」(講談社+α新書)、「韓国『反日フェイク』の病理学」(小学館新書)など。

※当記事は時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」からの転載記事です。
janetlogo200.jpg

関連ワード

ニュース速報

ワールド

新型肺炎、中国が「人から人」へ感染確認 世界で患者

ワールド

バンカメ、20年原油価格見通し上げ 需要増や協調減

ワールド

香港格付け「Aa3」に引き下げ、見通し「安定的」=

ワールド

イラン外相、国連で制裁議論なら「NPT脱退」 他の

MAGAZINE

特集:CIAが読み解くイラン危機

2020-1・28号(1/21発売)

40年にわたる対立の起源はどこにあるのか── 元CIA工作員が歴史と戦略の視点から分析

人気ランキング

  • 1

    ゴーン逃亡のレバノンが無政府状態に、銀行も襲撃される

  • 2

    英王室に爆弾を放り込んだスーパーセレブ活動家メーガン妃の野心

  • 3

    TWICEリーダー、ジヒョの発言で炎上した「웅앵웅」とは? 韓国に広がる男女間ヘイトの炎

  • 4

    世界の富裕層上位2100人が最貧困層46億人より多くの…

  • 5

    ヘンリー王子「王室引退」への不満と同情と

  • 6

    訪韓日本人数が訪日韓国人数を上回った ......その内…

  • 7

    ヘンリー王子夫妻「王室離脱」でエリザベス女王にい…

  • 8

    ヘンリー王子との結婚「考えが甘かった」と重圧を語…

  • 9

    ヒトの老化は、34歳、60歳、78歳で急激に進むことが…

  • 10

    ゴーン「逮捕翌日、フランス大使から日産の陰謀を知…

  • 1

    ゴーン逃亡のレバノンが無政府状態に、銀行も襲撃される

  • 2

    訪韓日本人数が訪日韓国人数を上回った ......その内実は

  • 3

    韓国・文在寅政権──モンスターになってしまったモンスターハンターたち

  • 4

    英王室に爆弾を放り込んだスーパーセレブ活動家メー…

  • 5

    年始から「不快感」の応酬......文在寅vsアメリカは…

  • 6

    野生のコヨーテ3匹を猫が撃退! 「クレイジーキャッ…

  • 7

    オーストラリア森林火災、「ウォンバットが野生動物…

  • 8

    日本も見習え──台湾はいかにポピュリズムを撃退したか

  • 9

    イラン、「アメリカに死を」が「独裁者に死を」へ 旅客機…

  • 10

    韓国でトゥレット障がい者のユーチューバー、「演技…

  • 1

    ゴーン逃亡のレバノンが無政府状態に、銀行も襲撃される

  • 2

    日本不買運動で韓国人が改めて思い知らされること

  • 3

    韓国、長引く不況を「ノージャパン運動」が覆い隠す

  • 4

    韓国の自動車が危ない?

  • 5

    複数の海外メディアが行くべき旅行先として日本をセ…

  • 6

    トランプが52カ所攻撃するなら、イランは300カ所攻撃…

  • 7

    イラン軍司令官を殺しておいて本当の理由を説明しよ…

  • 8

    ヒトの老化は、34歳、60歳、78歳で急激に進むことが…

  • 9

    訪韓日本人数が訪日韓国人数を上回った ......その内…

  • 10

    最恐テロリストのソレイマニを「イランの英雄」と報…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
「STAR WARS」ポスタープレゼント
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月