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習主席は米国崇拝の投降派? 米中貿易戦争で中国の宣伝工作が混乱

2019年6月27日(木)17時20分
西村哲也(時事通信社外信部長)※時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」より転載

ドナルド・トランプと習近平は6月29日に大阪で会談を行う(2017年11月、北京での会談時) Damir Sagolj-REUTERS

米中貿易戦争に関する中国の宣伝工作が混乱気味だ。米側の強硬姿勢で5月の貿易協議が物別れに終わったにもかかわらず、習近平国家主席はトランプ米大統領を「わが友」と呼んで、米中関係がいかに密接かを強調した。一方で中国の主要公式メディアは、超大国・米国を崇拝し恐れて「投降」を主張する人々がいると非難。対米外交をめぐり習政権内部で意見対立が生じているかのような印象を与えた。

「あなたの中に私がいる」

習氏は6月7日、ロシアのプーチン大統領らと共にサンクトペテルブルクで開催された国際経済フォーラムに出席し、座談会で以下のように発言した。


一、中米間には幾つかの貿易摩擦があるが、両国は既に「あなたの中に私がいて、私の中にあなたがいる」という関係であり、互いに最大の投資者、最大の貿易パートナーだ。

一、中米が完全に引き裂かれるというのは、私も想像し難い。そのような状況を私は見たくないし、われわれの米国の友人も見たくないだろう。わが友トランプ大統領も見たくないと信じている。

一、「一帯一路」(中国の陸海シルクロード経済圏構想)は相互尊重、互恵のウィン・ウィンだ。中国は(米国に代わって)ナンバーワンになろうとは思わないし、植民計画を進めることはあり得ない。われわれが「マーシャル・プラン」(第2次世界大戦後に米国が実施した大規模な欧州復興支援計画)を策定することも不可能だ。

米側の対中貿易制裁強化に対し、中国公式メディアが反米キャンペーンを展開する中での発言とは思えないほど親米的な言い方だったため、香港など中国本土以外の中国語メディアで大きく取り上げられた。

だが、この発言は中国本土ではほとんど報道されなかった。上記の発言内容は中国系の香港ニュースサイト鳳凰網による。

「崇米・媚米・恐米」非難

奇妙なことに、習氏の「わが友トランプ」発言と同時期に、中国公式メディアはこうした親米的考え方を特に厳しく批判し、警戒を呼び掛けた。

共産党中央指導下の有力紙・光明日報は6日、復旦大学(上海)国際関係・公共事務学院の副教授を務める沈逸氏(前回の本欄で紹介したタカ派識者)の論評を再び掲載。沈氏は次のように主張した。

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