最新記事

子供

シリア難民の子供、トルコの英ブランド縫製工場で長時間働かされる

2016年10月25日(火)20時21分

10月24日、シリア難民の子供たちがトルコの工場で、英小売大手マークス・アンド・スペンサー(M&S)やオンラインストアASOS(エイソス)のための衣服を製作している。写真はM&Sのロゴ。ブリュッセルで3月撮影(2016年 ロイター/Yves Herman)

 シリア難民の子供たちがトルコの工場で、英小売大手マークス・アンド・スペンサー(M&S)やオンラインストアASOS(エイソス)のための衣服を製作している。英BBC放送のテレビ番組「パノラマ」の調査で明らかになった。

 調査によると、15歳前後のシリア難民が低賃金で長時間、英国に出荷される洋服の製作やアイロンがけを行っていたという。

 BBCのジャーナリストらは、マークス・アンド・スペンサーのラベルを工場で撮影。ファッションブランド「Mango(マンゴ)」や「Zara(ザラ)」のダメージ加工のジーンズ製作工場で12時間働き、不適切な保護の下、化学薬品を使用していたシリア難民もいたという。

 M&Sの広報は「これまで、シリア人労働者が私たちに製品を供給する工場で雇われている証拠はなかった」とした上で、今回の「非常に深刻で受け入れがたい」発見に大変失望していると述べた。

 同社によると、工場で雇われているシリア人の日雇い労働者らに、合法的で安定した雇用を提供できるよう、トルコ側と協議中だという。

 一方、マンゴの広報担当者は、番組で紹介されたような「行為は一切容赦しない」と表明。BBCからの通知後、関係工場で緊急の抜き打ち検査を行ったが、「いかなる環境下でも、シリア人の子供の児童労働は発見されなかった」と述べた。

 ASOSの広報は「非常に深刻に受け止める」とした上で、番組をまだ見ていないのでコメントは差し控えると語った。

 トルコには、紛争が続くシリアから逃れた約300万人が生活しているとみられている。

 ロイターの今年の調査でも、シリア難民の子どもたちがトルコの縫製工場で不法な条件の下で働いている証拠が見つかっている。

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FOMCが焦点、0.25%利下げ見込みも反対票に注

ワールド

ゼレンスキー氏、米特使らと電話会談 「誠実に協力し

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

ガザ交渉「正念場」、仲介国カタール首相 「停戦まだ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 10
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中