プーチンなんかに負けない! 過激に炸裂するプッシー・ライオットのフェミニスト魂
Much Bigger than a Band
04年にウクライナで民主化を求める「オレンジ革命」が起きて以来、ウクライナの人々はインスピレーションの源だった。14年に刑務所から釈放されたときもすぐにウクライナに行き、当時の民主化運動について学んだ。
ウクライナ人の勇気には頭が下がる。彼らは決して現状に満足せず、より大きな自由を求めてきた。ウクライナこそが自由世界のリーダーだと、最近私は本気で思っている。
だから支援は自然な流れだった。NFTを使ったのは、暗号資産のコミュニティーで人脈を築いてきたから。
暗号資産に関しては詐欺まがいの悪質なプロジェクトもあるけれど、ポジティブな使い方もできるはず。活動家は効果と生産性を上げるために、新しいデジタルツールを取り入れるべきだと思う。
(ウクライナ国旗をデザインしたNFTを販売して支援金を募るプロジェクトは)数日で700万ドル以上を調達し、そのお金も数日で分配できた。今までの非営利団体にはできなかったことだ。
――アメリカの人工中絶問題にも切り込んでいる。
12年に私たちがモスクワの救世主ハリストス大聖堂で逮捕されたのも、プーチン政権下でロシア正教会が勢いを増し、中絶の権利を制限しようとしたことがベースにある。
歴史を顧みれば、性と生殖に関する女性を制限するなんて論外。ソ連という国は問題も多かったが、その影響下で育った私は自分の体に関することは自分で決められると100%信じて大人になった。
望まぬ妊娠から身を守るにはそれしかないと考え、10回も中絶手術を受けた知人もいる。私も経験したが、気がとがめたことはない。
誰でも簡単に手術を受けられる半面、ソ連の性教育はお粗末だった。「ソ連にセックスは存在しない」という言い回しがあったくらい、誰も性の話をしなかった。今でさえ、ほとんどの学校が性教育を行っていない。
――音楽フェスティバルでは観客を考えさせたい? それとも踊らせたい?
観客が踊ってくれるのは最高。エネルギーが湧いてくるし、アーティストにとっては大事なこと。
駆け出しの頃は正規のライブ会場ではなく、町の広場で演奏した。それも無許可で。観客の反応は強烈で、怒り出す人もいた。警官には必ず怒られた。でも心を動かされ、スマホを取り出し撮影する人もいた。
だからエモーショナルなリアクションには慣れている。観客の心とつながることが、私の糧になる。
フェスは政治集会みたいに盛り上がることがあって、それが楽しい。今回も手加減せず、政治的なメッセージを全面に出す。フェスでの公演は広場のゲリラライブに近く、新しいフォロワーやサポーターを開拓できるのもいい。
プッシー・ライオットの活動を追い掛けてくれる人たちを、私は「ファン」とは呼ばない。ファンというより、コミュニティーの「仲間」だと思うから。
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