最新記事

SNS

大人気アプリTikTokに君臨する「キング」の実像

The TikTok King

2020年09月08日(火)18時30分
ニューズウィーク日本版編集部

@zachking/TikTok

<TikTokで最も多く再生された作品をつくった男ザック・キングが語ったアプリ動画成功の秘訣>

ザック・キングはその名のとおり、動画共有アプリのTikTok(ティックトック)に君臨する「キング」と言ってもいい存在だ。「デジタル奇術」とも称される動画でユーザーを驚かせ、このアプリで最も多く再生された動画を制作したクリエーターとして知られている。

TikTokを運営するのは、中国企業のバイトダンス社。そのため、米中の摩擦が激化するなかで逆風が強まっている。本誌H・アラン・スコットがキングに話を聞いた。

NW_ZKG_001.jpg

コロナ禍の影響で自宅で家族と一緒に撮る動画が増えたと語るキング NATE NORELL

----もしTikTokが禁止されたら、どう思うか。

とても悲しい。でも、重大な影響はないと思う。TikTokが禁止されるかどうかに関係なく、似たような機能を持ったアプリは登場する。誰でも動画でブレイクできる時代は終わらないだろう。

----ソーシャルメディアの進化に伴って、あなたの動画も進化してきた。ソーシャルメディアの力を最初に認識したのはいつだったのか。

YouTubeに動画を発表し始めたのは10年以上前。そうした動画のいくつかが大きな話題を呼んだ。映像制作の講師業から、動画作りへと少しずつ比重を移していったのは、この時期のことだ。

数年後、新しい動画共有アプリの「バイン」が登場し、幸運に恵まれてブレイクを果たせた。バインでの活動を通じて、手品のような仕掛けを駆使した手法を確立できた。

----バイン(現在はサービス終了)とTikTokのどちらが好き?

バインへの愛情はずっと変わらない。短い動画という新しい世界を切り開いたのは、バインだった。

TikTokが画期的なのは、アルゴリズムがユーザーの気に入りそうな動画をリアルタイムで紹介すること。そのおかげで、ユーザーはコンテンツを楽しめるし、ユーザーの利用時間も長くなる。

ただし、よくない面もある。狭い範囲のコンテンツにしか目が向かなくなり、多様な動画に触れる機会が失われる。

----優れたTikTok動画の条件は?

TikTok向けにほかと違うタイプの作品を制作することはしていない。重要なのは、冒頭から興味をそそる内容にすること。ただし、ショッキングな動画というだけでは良質な作品にはならない。見終わったときに、「なるほど」と思わせる必要がある。

----コロナ禍の影響は?

スタジオでスタッフと一緒に動画を作れなくなり、道具をたくさん自宅に運び込んだ。2人の子供たちを主役にして、妻にカメラを持ってもらおうと考えた。その結果、父親としての側面に光を当てた作品が多くなっている。

----TikTok上で自分の動画がほかの人たちの作品に影響を与えていると思うか。

チャーリー・チャプリンが生きていたら、私が彼から多くの要素を盗んでいることに気付くだろう。私は、自分が1920年代や30年代の映画作りの手法を繰り返しているだけだと感じている。当時の人たちが今日のテクノロジーを持っていたら、こんな作品を好むだろうと思う作品を制作している。

それと同じように奇術のような手法を自分の作品で採用している人が大勢いるのは、見ていて楽しい。


20200915issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月15日号(9月8日発売)は「米大統領選2020:トランプの勝算 バイデンの誤算」特集。勝敗を分けるポイントは何か。コロナ、BLM、浮動票......でトランプの再選確率を探る。

[2020年9月 1日号掲載]

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

再送-米、ロ産石油輸入巡り対中関税課さず 欧州の行

ワールド

米中、TikTok巡り枠組み合意 首脳が19日の電

ワールド

イスラエルのガザ市攻撃「居住できなくする目的」、国

ワールド

米英、100億ドル超の経済協定発表へ トランプ氏訪
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

  • 2

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 3

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    話題の脂肪燃焼トレーニング「HIIT(ヒット)」は、心…

  • 1

    「高慢な態度に失望」...エリザベス女王とヘンリー王…

  • 2

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

  • 5

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界が尊敬する日本の小説36

特集:世界が尊敬する日本の小説36

2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは