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米西部

アリゾナの移民取り締まりで「内戦」?

2010年5月26日(水)15時36分
リズ・ホワイト

 米西部で、4月に成立したアリゾナ州の移民法をめぐる争いが激しくなっている。不法移民摘発が目的の同法は、外国人登録証の常時携帯を義務付け、不法滞在の可能性があると警官が判断した場合は職務質問できると定めている。

 この法律に反対するカリフォルニア州ロサンゼルス市議会は5月12日、同州の企業との取引を禁じるボイコット条例を可決した。しかしアリゾナ州も黙ってはいない。18日、同州のゲーリー・ピアス企業担当長官はロサンゼルスに対し、ボイコットをやめなければ送電を停止するとする書簡を送った。ロサンゼルスは電力の25%をアリゾナ州の電力会社に頼っている。

 もっとも実際は、カリフォルニア州に送電している電力会社の利権の25%をカリフォルニア州が握っているため、送電を止めることはできない。実行したとしても、打撃を受けるのはむしろアリゾナ州のほうだ。

 ボイコットは経済的打撃を与えるには効果的なやり方だが、ロサンゼルスのボイコット条例の場合は象徴的な意味合いが強い。一方、ピアスの書簡も再選に向けた政治的なスタンドプレーにすぎない。現に19日には、アリゾナ州に送電停止の権限がないことを認め、ロサンゼルスの偽善を世間に知ってほしかっただけだと語った。子供のけんかじゃあるまいし。

[2010年6月 2日号掲載]

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