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議会乱入の暴徒が叫んでいた「ハング・ペンス(ペンスを吊るせ)」のチャント
議事堂になだれ込んだ暴徒の破壊行為の詳細が徐々に明らかに Leah Millis-REUTERS
<トランプの職務停止や弾劾を求める声が高まるなか、ペンス副大統領の判断が注目されている>
先週6日に発生したトランプ支持者による連邦議会議事堂への乱入事件は、結果的にバイデン次期大統領の就任を法的に確定させるとともに、議会の民主・共和両党の圧倒的多数がトランプ政治に決別をするきっかけになりました。
ですが、事件後の米政界は揺れています。何といっても、最大の懸念は1月20日のバイデンの大統領就任式が安全に実施できるかどうかですが、とりあえず首都ワシントンはすでに厳戒態勢にあり、トランプ派が乱入するのを防ぐために鉄製の高いフェンスが議事堂周辺に張りめぐらされています。州兵の動員も始まっており、当日は1万数千人態勢での警備になるようです。
その就任式にはペンス現副大統領は参加、トランプは不参加になる模様です。トランプの不参加は、罷免直前に辞任してカリフォルニアへ去ったニクソンを除いては、健康問題で列席できなかったウィルソン以来という憲政史上異例な事態となります。ですが「混乱を回避するためには良い判断(バイデン次期大統領)」という理解が広まっているのは事実です。
そんな中で、最大の懸念は、就任式とそれまでの9日間に、さらなる暴力事件が発生する可能性です。すでにトランプ派は、連日のように全国の州都で集会を行っています。また週末にはカリフォルニア州サンディエゴで、トランプ派と警官隊がにらみ合うなどかなり緊迫した局面も起きています。再度の流血沙汰をどうやって防ぐかに焦点が集まっています。
そこで、注目されているのがペンス副大統領の判断です。この間ずっと取り沙汰されていた「憲法修正25条による大統領の職務停止」へ向けて、その権限を持っているペンスが行動を起こすのかどうか、現在はその瀬戸際になっています。つまり、副大統領と閣僚の過半数が同意すれば、大統領の職務が停止できるとして、連邦下院では「修正25条の発動」を要求する動議が出されています。
明らかになる暴徒の暴力、破壊行為
この「修正25条の適用」ですが、事件直後から話はあり、また直後にはペンスは消極的という報道が出ていました。ですが、現時点ではペンスは、この発動を完全には否定していないという報道もあります。ペンスの周囲の証言によれば「さらなる暴力の兆候があれば」発動も考慮するとしているそうです。
そのペンスは、事実上、超法規的に軍の指揮権や政権移行措置の実務を代行している格好になっています。では、このまま事実上トランプの大統領としての権力を「羽交い締め」にした形で残り8日間を過ごせばいい、常識的にはそうなりますが、依然としてペンスが「修正25条発動」を否定していないのは、やはり6日の事件を重く見ているからだと思います。
週末に新しく公開された動画では、あの日、恐ろしいことに、議場に乱入した暴徒は「ハング・ペンス」と何度もチャント(唱和)していた様子が撮影されていました。要するに暴徒はペンス副大統領を「ハング(吊るせ)」と叫んでいたのです。自分たちを裏切ってバイデン当選承認を進めた副大統領は「殺す」というのですからまったく穏やかではありません。
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