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焦点:ウクライナ、ドローン迎撃技術輸出の好機 中東紛争で需要

2026年03月31日(火)12時52分

ウクライナの非公開の場所で待機する、同国ワイルド・ホーネッツ社製の迎撃ドローン。3月16日撮影。REUTERS/Thomas Peter

Tom Balmforth Max Hunder

[ロン‌ドン/キーウ 30日 ロイター] - ウクライナ戦争は、同国をドローン(無人機)迎撃‌技術の先駆者へと押し上げた。中東紛争はウクライナにとって、この技術を世界展開できるか​否かの分かれ目となる可能性がある。

ウクライナのゼレンスキー大統領は週末、ドローン迎撃システムとノウハウを売り込むため、イランによるドローン攻撃の標的となった湾岸諸国を歴訪し⁠た。

ゼレンスキー氏は先週ロイターのインタビューで「ウ​クライナは中東では得られない専門知識を提供している。専門知識とはドローンそのものだけではなく、ドローンを防衛の一部に組み込むスキルであり、戦略であり、システムのことだ」と語った。

実際、ウクライナはここ数日でサウジアラビアおよびカタールと協力枠組み協定を締結し、アラブ首長国連邦(UAE)とも協定交渉中だと明かしている。ゼレンスキー氏は、武器販売は政府レベルで決定すべきことだと強調し、自国の企業が顧客と直接交渉しないようくぎを刺した。

ウクライナのドローン産⁠業は輸出の解禁を今か今かと待ち望んでいる。

「誰もが固唾をのんで待ち構えている」と語るのは、英国に本社を置くウクライナの軍事技術企業ユーフォースのオレグ・ロギンスキー最高経営責任者(CEO)だ。同社の水上ドローン「マグラ」には中東から強い関心が寄せら⁠れているとい​う。

複数の業界関係者は、米国・イスラエルとイランの戦闘が現代戦における攻撃型ドローンの威力を見せつけ、多くの国がその脅威に脆弱であることが露呈したと指摘する。そしてウクライナにとっては輸出を急増させ、戦後の復興と繁栄の柱となる世界トップの産業を創出する絶好の機会が訪れたとの声もある。

ウクライナの主要ドローン迎撃機メーカー、ワイルド・ホーネッツとスカイフォールも中東諸国から問い合わせを受けたが、ユーフォースと同様、政府の許可が下りるまでは直接的な契約交渉を控えていると説明した。

ウクライナの防衛関連企業、約100社が加盟する協会「テック・フォース・インUA」のアナスタシア・ミシュキナ事務局長は、政府に輸出許可を求めている企業もあ⁠るとし、「国際市場は待ってくれない。好機を逃すリスクがある」と語った。

<迎撃機搭載の水上ドローン>

ウクライナは、ロシ‌アのドローン攻撃に対抗する長年の経験を通じて、技術と専門知識を培ってきた。同様に、湾岸諸国は現在、イラン製の安価なドローン「シャヘド」の⁠脅威にさらさ⁠れている。

ロシアは一晩に数百機のドローンを放つことも多く、ウクライナは官民挙げて迎撃ドローンの開発競争を繰り広げてきた。こうした迎撃ドローンは1機数千ドル程度だが、常に迎撃に成功するとは限らず、ロシア側も着々と回避策を講じている。

ウクライナ防衛産業評議会のイホール・フェディルコCEOは、今年のウクライナの武器輸出額が、同盟国との共同生産分を除いて約20億ドルに達すると予想。最良のシナリオでは5年以内に年間100億ドルに達するとの見通しを示した。

ウクライナ政府によると、同国は1月に迎撃ドローンを4万機生産した。政府は自国防衛‌に必要な武器は輸出しない方針を明確にしている。ゼレンスキー氏は、十分な資金が調達できれば1日2000機の生産能力があり、自国防衛に1000機を割​り当てても輸‌出に回せる分は多いと述べている。

ユーフォースのロ⁠ギンスキーCEOは、自社の水上ドローン「マグラ」は湾岸諸国にとって明​らかな魅力を備えており、洋上で空中ドローンと戦うための迎撃ドローンを搭載することも可能だと説明した。

ロギンスキー氏は、ウクライナ軍は既にマグラを使って黒海でロシア製ドローンを迎撃した実績があり「完全に実用可能で、実戦でテスト済みだ」と説明。ペルシャ湾岸の海岸線に、迎撃機を搭載したマグラを配備し、ソフトウエアで制御すれば少ない人員での運用が可能になると説明した。

<今からでも習得を>

ゼレンスキー氏は以前、政府を介さずに迎撃ドローンを販売したウクライナ系の米国企業を非難したことがある。その際、訓練を担当する兵士の派遣など‌の政府支援が得られず、結果として顧客への教育が不十分となり、ウクライナの評判を傷つけることになったと同氏は説明した。

だが防衛企業に近いウクライナの議員はロイターに対し、政府の輸出解禁は遅すぎると批判。メーカーは事業拡大のための資金を切実に必要と​していると語った。

政府関係者やドローン事業者によると、輸出契約を結んでも、ドロー⁠ンによる防衛網の構築と訓練には数カ月を要する可能性がある。

慈善団体「カム・バック・アライブ」の迎撃ドローン計画責任者、タラス・ティモチコ氏は、パイロットの訓練や実戦経験、弾頭を安全に装備するノウハウや技術的な故障の修復など、洗練されたシステムには様々な専門性が必要になると説明。さらに重要なのはドローンを​検知・追跡するためのレーダーの設置、正確な配置、その情報を異なる部隊間で連携させることだと語った。ただ、生存をかけて戦いながら自力で前進しなければならなかったウクライナに比べれば、湾岸諸国の習得スピードは速いと予想する。

同氏は「数カ月以内に一部の湾岸諸国が独自の迎撃部隊を編成し、その後まもなく成果を出し始めると確信している」と述べた上で、「残念ながら今日の現実を見れば、そんな時間はない。しかし学ぶのが遅れても、手遅れになるよりはましだ」と続けた。

ロイター
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