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情報BOX:米政府閉鎖、影響を受ける機関と受けない機関

2023年09月25日(月)14時40分

 米議会が10月1日から始まる来年度の予算案を巡り合意できない場合、一部の政府機関が閉鎖される。写真はワシントンの連邦議会議事堂。2月撮影(2023年 ロイター/Evelyn Hockstein)

[22日 ロイター] - 米議会が10月1日から始まる来年度の予算案を巡り合意できない場合、一部の政府機関が閉鎖される。「必要不可欠」と見なされる職員は職務を継続するが、給与は支給されない。

多くの政府機関は過去に準備したコンティンジェンシープラン(不測の事態を想定した緊急対応策)を変更していない。業務を継続する政府機関と閉鎖される政府機関の概要は以下の通り。

<軍>

200万人の軍人は職務を継続するが、国防総省の文民職員80万人の約半数は自宅待機となる。

政府機関閉鎖前に締結された契約は継続される。国防総省は国家安全保障に必要な物資・サービスを新たに発注できるが、契約の更新や延長を含め、新たな契約は締結できない。ボーイング、ロッキード・マーチン、RTX(旧レイセオン)など国防企業への支払いが遅れる可能性がある。

エネルギー省の国家核安全保障局は核兵器の管理を継続する。

<法執行機関>

司法省の2021年の計画によると、連邦捜査局(FBI)、麻薬取締局(DEA)などの連邦法執行機関の職員は職務を継続する。刑務所の職員も職務を続ける。

トランプ前大統領に対する2件の起訴も含め、連邦レベルの刑事訴追手続きは継続される。民事訴訟の大半は延期になる。

地方警察への支援や補助金の支給が遅れる可能性がある。

国土安全保障省の22年の計画によると、国境警備隊、移民取締官、税関職員は業務を継続する。大統領警護隊(シークレットサービス)と沿岸警備隊も業務を継続する。

連邦取引委員会(FTC)では、消費者保護を担当する職員の大半と、反トラスト法(独占禁止法)に関する業務を担当する職員の半数が自宅待機となる。

<連邦裁判所>

連邦裁判所には、少なくとも10月13日まで業務を継続できる資金があるが、それ以降は活動が縮小される恐れがある。連邦最高裁判所も同様に業務を継続する。

<運輸>

コンティンジェンシープランによると、空港の保安検査員と航空管制官は勤務を義務付けられるが、欠勤が問題になる可能性はある。2019年の政府機関閉鎖中、一部の空港は管制官の病欠で業務の中断を余儀なくされた。

航空管制官の新人研修は停止される。ブティジェッジ運輸長官は、これにより職員の不足が悪化しかねないと警告している。

ホワイトハウスによると、環境審査や許認可手続きの中断で一部の主要インフラ事業に遅れが生じる可能性がある。

<外交>

国務省の22年の政府機関閉鎖計画では、米国の大使館・領事館は業務を継続する。パスポート・査証(ビザ)の手続きは、業務に必要な手数料収入がある限り継続する。不要不急の公務出張、講演、その他の行事は縮小する。

一部の対外援助プログラムも資金不足に陥る恐れがある。

<国立公園と天然資源>

国立公園や国定記念物などへの影響は不明。18─19年の政府機機関閉鎖中は、多くが業務を継続したが、トイレや案内所は閉鎖され、廃棄物の処理も行われなかった。13年の政府閉鎖閉鎖中は業務が中断された。

農務省の20年のコンティンジェンシープランによると、山火事の消火活動は継続する。国有林の木材販売は縮小する。

<科学>

国立衛生研究所、国立科学財団、海洋大気庁(NOAA)などの機関で大半の職員が自宅待機となるため、科学研究に混乱が生じる。

航空宇宙局(NASA)では、国際宇宙ステーションの支援と人工衛星の追跡は継続するが、1万8300人の職員のうち1万7000人が自宅待機となる。

天気予報、漁業の規制、特許・商標の審査は継続する。新薬や新たな医療機器の審査も継続する。

<医療>

疾病対策センター(CDC)は疾病発生については監視を継続するが、職員の半数以上が自宅待機となるため、他の公衆衛生活動に影響が出る可能性がある。

国立衛生研究所では大半の職員が自宅待機となり、新たな臨床試験が遅れるとみられる。

退役軍人・先住民向けの医療サービスは継続する。

飲料水、化学施設、有害廃棄物処理場の検査は大半が中止される。

食品医薬品局(FDA)による食品安全検査が遅れる可能性もある。

<金融規制>

証券取引委員会(SEC)は4600人の職員の約90%を自宅待機とし、緊急対応を除き大半の業務を停止する。

21年の計画によると、商品先物取引委員会(CFTC)は、ほぼ全ての職員を自宅待機とし、監督・執行・規制業務を停止する。

連邦準備理事会(FRB)、連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁は、議会が定めた政府歳出予算ではなく業界の手数料で資金が賄われているため、通常通り業務を継続する。

<経済指標>

10月6日の雇用統計や翌週の物価統計など、労働省労働統計局の重要経済指標の発表は停止される。小売売上高や住宅着工件数など、商務省経済分析局や国勢調査局からの報告も停止される可能性がある。

<社会保障、メディケアなどの給付>

社会保障局は退職・障害手当の支給を継続する。メディケア(高齢者向け医療保険)とメディケイド(低所得者向け医療保険)の給付も継続する。

21年の計画によると、退役軍人への給付も継続する。

補助的栄養支援プログラム(SNAP)を通じた食料支援は、食料品店が免許を更新できないため影響を受ける可能性がある。

<徴税>

内国歳入庁(IRS)は通常通り業務継続する。IRSの予算は失効しないため、8万3000人の職員全員に引き続き給与が支払われる。

<災害対応>

連邦緊急事態管理庁(FEMA)は災害救助や長期復興事業の資金が底をつく恐れがある。

<教育>

教育省の21年の計画によると、ペル・グラント(返済不要の奨学金)と学生ローンの支給は継続されるが、教育省の大半の職員が自宅待機となるため、混乱が生じる恐れがある。

同省によると、政府機関閉鎖が長引けば、学校・大学などの教育機関への支援が「著しく制限」される恐れがある。年内に予定されている支給に遅れが出る可能性もある。

<育児>

ホワイトハウスによると、就学前児童1万人が「ヘッドスタート」(低所得家庭の未就学児教育補助プログラム)を利用できなくなる。

<中小企業支援>

中小企業庁は新たな融資を行えない。自然災害で被害を受けた企業への融資は継続する。

<労働>

ホワイトハウスによると、職場の安全検査は制限され、不当な賃金慣行に関する調査は停止される。

22年の計画によると、全国労働関係委員会(NLRB)の職員1200人のほぼ全員が自宅待機となるため、労働争議の調停能力が低下する。

<ホワイトハウス>

ホワイトハウスは18─19年の政府機関閉鎖で、大統領府の職員1800人のうち1100人を自宅待機とした。国家安全保障会議など一部の機関は全職員が職務を継続したが、行政管理予算局(OMB)などは業務を大幅に縮小した。

ホワイトハウス職員の自宅待機により、下院共和党によるバイデン大統領(民主党)の弾劾調査への対応が難しくなる可能性がある。

<郵便配達>

郵政公社は議会に資金を依存していないため影響はない。

ロイター
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