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米国での完全自動運転車、公道走行化の道筋なお見えず
10月28日、米国で人間が運転操作をしない自動運転車の公道走行化に向けて自動車メーカーやハイテク企業がクリアしなければならない規制上のハードルはまだまだ多い──。写真はブティジェッジ米運輸長官。ワシントンで5月撮影(2022年 ロイター/Elizabeth Frantz)
[ワシントン 28日 ロイター] - 米国で人間が運転操作をしない自動運転車の公道走行化に向けて自動車メーカーやハイテク企業がクリアしなければならない規制上のハードルはまだまだ多い──。業界幹部や議員などの今年の発言は、こうした状況を改めて浮き彫りにしている。
米フォード・モーターとドイツのフォルクスワーゲンは28日、共同出資していた自動運転技術開発企業「アルゴAI」への投資打ち切りを発表。この技術は完成までまだ前途遼遠だと説明した。
先の道のりが長いのは自動運転技術を巡る規制整備も同様だ。米議会ではもう5年余り、規制をどのように自動運転車を網羅する形に修正していくかを巡って議論が滞ったままだ。消費者保護の問題しかり、法的責任の範囲の問題しかりだ。
業界は規制当局に対し、ハンドルないしブレーキペダルなしの自動運転車をとりあえず数千台、公道で走らせてほしいと嘆願しているものの、当局側はいつになったら取り合う可能性があるかを示唆することさえしていない。
ブティジェッジ運輸長官は10月に入って、人間は運転者として殺傷を起こしてきた歴史があるだけに、自動運転車やハイテク技術装備車が理論上、極めて多くの命を救う可能性に「非常に高く期待している」と発言。一方で、「われわれはまだその段階には達していない」とくぎを刺した。
業界や政界の一部は自動運転車の技術開発が国際競争力にかかわる問題だともみている。多くの議員と業界関係者はブティジェッジ氏に対し、連邦政府レベルで自動運転車の規制枠組みを整備するよう要望している。このままでは中国に開発競争で負けかねないという言い分だ。
民主党上院議員十数人は今年4月、ブティジェッジ氏に書簡を送り、「自動運転の技術革新を育成しつつ、われわれが自動運転車によって可能になると信じる重要なメリットを全て保護・促進していく規制枠組みが必要だが、われわれはこの点で遅れを取っている」と訴えた。書簡は米国の競争相手、特に中国が自動運転とコネクテッドカーの技術に大きく投資してきたと強調した。
米国ではカリフォルニア州サンフランシスコ市などが、米ゼネラル・モーターズ(GM)などの自動運転車が関わった6月の衝突事故を巡り、会社側の安全データの提供や分析が不十分との見解を示している。