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インドネシア中銀は利上げ加速か、燃料値上げの物価圧力懸念
インドネシア政府が3日に政府補助金付き燃料の価格引き上げを発表したことで、同国中央銀行が利上げペースを加速させる──。エコノミストの間でこうした見方が広がっている。写真はジャカルタ市内、8月撮影(2022年 ロイター/Ajeng Dinar Ulfiana)
[ジャカルタ 5日 ロイター] - インドネシア政府が3日に政府補助金付き燃料の価格引き上げを発表したことで、同国中央銀行が利上げペースを加速させる──。エコノミストの間でこうした見方が広がっている。
中銀は8月会合で政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げた。ただそれまでは、海外の中銀が急ピッチで利上げに動く中でも政策金利を過去最低の3.50%に据え置き続けてきた。手厚い燃料補助金が物価抑制効果を発揮していたからだ。
しかしジョコ大統領が3日、補助金付き燃料の30%値上げに動いた。食品価格は既に世界的なコモディティー高騰で値上がりしているだけに、物価が今後さらに押し上げられる恐れを受けて金融政策の見通しもがらりと変わってきている。
8月の消費者物価指数(CPI)前年比上昇率は4.69%と、中銀が目標とする2─4%の上限を3カ月連続で上回っていたが、複数の財務省高官は今月5日、年内にCPI上昇率は6.6─6.8%に達すると予想した。
OCBC銀行のエコノミスト、ウェリアン・ウィラント氏は「財政面のインフレ防衛措置がなくなったという意味で、燃料価格引き上げは中銀にとって情勢をかなり一変させる要素だ」と指摘。CPI上昇率が数カ月中に7%まで跳ね上がる可能性があると見込んだ上で、中銀が年内に最低でも50bp、あるいはそれ以上の利上げに踏み切ると想定している。OCBC銀行は燃料価格引き上げ発表前まで、年内利上げ幅を最大でも50bpとみていた。
ロイターがエコノミスト11人に実施した調査では、年末から来年終盤までに予想される追加利上げ幅は燃料価格引き上げ発表前に25ー125bpだったが、発表後は50─225bpに切り上がった。
一部エコノミストはより前倒しの利上げを予想。政策金利は現利上げサイクルで来年中に6%まで上昇するとの声も出ている。