ニュース速報

ワールド

経済利益で安全保障を犠牲にすべきでない=NATO事務総長

2022年05月25日(水)14時42分

 5月24日、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長(写真)は、スイス・ダボスで開催中の世界経済フォーラム総会で講演し、西側諸国が経済利益を得るために安全保障を犠牲にしてはならないと訴えた。写真はスイスのダボスで撮影(2022年 ロイター/Arnd Wiegmann )

[ダボス(スイス) 24日 ロイター] - 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は24日、スイス・ダボスで開催中の世界経済フォーラム総会で講演し、西側諸国が経済利益を得るために安全保障を犠牲にしてはならないと訴えた。具体的には第5世代(5G)移動通信システムの中国技術の問題や、ロシア産ガスをドイツに送る海底パイプライン「ノルドストリーム2」計画を挙げた。

ストルテンベルグ氏は「われわれの経済的な選択がわれわれの安全保障に影響を与えることを認識する必要がある」と指摘。「われわれの価値観を守ることは利益よりも重要だ」と強調した。

5Gについては「自分は中国との貿易に反対しているのではないが、5G網の支配は安全保障に極めて重大だ」と主張。「われわれの安全保障上、信頼できないサプライヤーに5G網を開放するのは、利害関係にかなっているとは言えない」とも語った。

ノルドストリーム2については良い教訓になったと指摘。自由貿易は多大な繁栄と富につながるが、代償もあるということだと述べた

「独裁政権と関わる貿易はわれわれの安全保障を損なうということだ。そうした際には、われわれはぜい弱さと独裁政権への過度の依存ではなく、安全保障を選択しなければならない」とも語った。

同氏は「われわれは、経済的な選択が安全保障に影響を及ぼすことを認識しなければならない。自由は自由貿易よりも重要だ。われわれの価値を守ることは利益よりも重要だ」とたたみかけた。「自由貿易なのだから天然ガスを自由に輸入してよいはずだという理念や、ロシアから欲しいだけガスを買えるはずだという考え方は間違っており、危険だ」とも強調。「そうした考え方はロシアに脅迫とわれわれへの対抗の道具を与えることになる。これは残念ながら、まさに今明示されていることだ」とした。

ドイツはノルドストリーム2計画の断念に抵抗してきたが、ロシアのウクライナ侵攻が激化する中で稼働手続きの停止決定に追い込まれた。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中