ニュース速報

ワールド

ナゴルノ紛争、米仲介の停戦発効後も攻撃続く

2020年10月27日(火)08時55分

 10月26日、ナゴルノカラバフ地域の帰属を巡って争うアゼルバイジャンとアルメニアは、同日に発効した米国仲介の停戦後も互いに対する攻撃を続けている。写真はアゼルバイジャンのガンジャで23日撮影(2020年 ロイター/Umit Bektas)

[バクー/エレバン 26日 ロイター] - ナゴルノカラバフ地域の帰属を巡って争うアゼルバイジャンとアルメニアは、26日に発効した米国仲介の停戦後も互いに対する攻撃を続けている。紛争解決に向け各国は努力を続けるが、和平が達成するか先行きは見通せない。

アゼルバイジャンとアルメニアは25日、10月10日以降で3度目となる停戦で合意した。停戦は26日午前8時(日本時間同日午後1時)に発効したが、直後に両国は、それぞれ攻撃を受けたと発表した。

アゼルバイジャン国防省によると、アルメニア軍が停戦発効直後に係争地付近の複数の村を砲撃した。ナゴルノカラバフの当局者はこれを否定している。

係争地のアルメニア系住民トップは、アゼルバイジャン軍が攻撃を再開したと主張している。

アゼルバイジャンのアリエフ大統領はテレビ演説で「政治的・軍的手段による」紛争解決を望んでいると表明した。

アルメニアのパシニャン首相は、アゼルバイジャンは紛争の平和的解決に関心がないと批判。「アルメニア国民は、たとえそれが痛みを伴うものであっても互譲の用意がある。ただ、互譲はカラバフの降伏のためではない」と強調した。

9月27日に始まった軍事衝突は、南コーカサス地域における紛争としては90年代以降で最悪の事態となっている。これまでロシア仲介による2度の停戦も失敗に終わった。

世界の主要国はナゴルノ紛争が、アゼルバイジャンへの強力な支持を表明しているトルコと、アルメニアと防衛協定を結んでいるロシアを巻き込んでさらに悪化する事態を警戒している。紛争はアゼルバイジャンから欧州など各国に石油やガスを輸出するパイプラインの近くで続いており、トルコと北大西洋条約機構(NATO)加盟国との関係にも影響を及ぼしている。

フランス、ロシア、米国が主導する紛争解決を仲介する欧州安保協力機構(OSCE)ミンスクグループは、25日の停戦協議に参加した。10月29日にジュネーブで再びアルメニアおよびアゼルバイジャンの外相と協議する予定となっている。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米財務長官の発信にコメント控える、日銀会合も踏まえ

ワールド

アングル:米国株、人気は株主還元よりAI技術革新投

ワールド

習国家主席がトランプ米大統領と釜山で30日会談、中

ワールド

韓国、トランプ氏に最高勲章授与 金冠の模型も贈呈
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 2
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 3
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 4
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 5
    「ランナーズハイ」から覚めたイスラエルが直面する…
  • 6
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 9
    「何これ?...」家の天井から生えてきた「奇妙な塊」…
  • 10
    怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プー…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中