ニュース速報

ワールド

ノーベル化学賞に仏米女性2人、遺伝子改変の「はさみ」開発

2020年10月08日(木)00時40分

スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2020年のノーベル化学賞を、遺伝子を改変する「はさみ」を開発し、がんの新たな治療に貢献したほか、遺伝性疾患の治療の可能性を見いだした女性研究者2人に授与すると発表した(2020年 ロイター/TT NEWS AGENCY)

[ストックホルム/ベルリン 7日 ロイター] - スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2020年のノーベル化学賞を、遺伝子を改変する「はさみ」を開発し、がんの新たな治療に貢献したほか、遺伝性疾患の治療の可能性を見いだした女性研究者2人に授与すると発表した。

受賞者はフランスのエマニュエル・シャルパンティ氏と米国のジェニファー・ダウドナ氏。動物や植物、微生物のDNAを正確に改変する「クリスパー・キャス9」を開発した。賞金1000万クローナ(110万ドル)を2氏で等分する。

スウェーデン王立科学アカデミーは「DNAを好きなところで切れる技術は生命科学に大改革をもたらした」と話した。

ノーベル化学賞の受賞者に男性がいなかったのは、1964年に英国女性のドロシー・ホジキン氏が単独でノーベル賞を受賞して以来となる。

マックス・プランク感染生物学研究所に務めるシャルパンティ氏は、2人の女性がノーベル化学賞を受賞するのは初めてで、科学が現代化し、女性のリーダーが出てきたことを示すと述べた。

ダウドナ氏はすでに、生命工学のスタートアップ企業であるマンモス・バイオサイエンスの共同創設者として、クリスパーを用いた新型コロナウイルスとの闘いに挑んでいる。新型コロナ診断テストの開発に向け製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)と提携している。

クリスパーはこれまでもノーベル賞の有力候補として挙がっていたものの、神のような力を科学者に与える技術であり、遺伝子を改変した「デザイナーベビー」をつくるなど、乱用の可能性があるとの懸念がある。

ノーベル化学委員会を率いるクレス・グスタフソン氏は「この技術は多大な力があるため非常に気を付けて使わなければならない」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米韓制服組トップ、地域安保「複雑で不安定」 米長官

ワールド

マレーシア首相、1.42億ドルの磁石工場でレアアー

ワールド

インドネシア、9月輸出入が増加 ともに予想上回る

ワールド

インド製造業PMI、10月改定値は59.2に上昇 
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中